日本生まれ、日本育ち、「英語」と「和製英語」の区別がつかなくなることが多々あります。

そして、知らず知らずに外国人との打ち合わせの際に使ってしまい、外国人のほうが「どういう意味だ?」と混乱し、そして日本人の方も「ちゃんと聞き取れていないのかな?」と混乱してしまいます。

以下では、ビジネスでよく使われがちな「和製英語トップ10」についてお伝えし、どのような別な表現が適切かについてお伝えします。

和製英語を避けると打ち合わせ時の混乱を防いだり、時間を有効的に使えます

是非これを読んで注意しましょう。

①「プロフィール」

日本では、profileを「プロフィール」と読んでしまう方が多いですが、これは和製英語です

正しい英語だと「プロファイル」のほうが近い発音になります。

最も多い間違った使われ方は、会社紹介のパンフレットで自社の紹介をするときに、「This is my companyプロフィール (これが会社紹介資料です)」と読んでしまうのです。

いちいち「プロフィールとは何か」と指摘されることはなく、さらっと流されてしまいますが、発音は要注意です

②「ホッチキス」

顧客向けの資料を準備しているときに、現地法人の外国人社員に「Can I have ホッチキス? (ホッチキスありますか?)」と言っても通じません

ホッチキスは「日本だけで使われている商品名」であって、一般名詞ではありません。

一般名詞はstaplerになります。

③「プラスアルファ」

いかにも英語にありそうな表現のように思えますが、この表現も日本だけで使われている表現です

よって、外国人に「We deliver plus alpha solution. (私たちはプラスアルファのソリューションを提供します)」と言っても、全く理解してくれません。

plus alphaという製品でもあるのかと勘違いされてしまいます。

プラスアルファを英語で言いなおすと、value added (付加価値のある)が最も近い表現になります。

④「パンフレット」

パンフレットという英単語はありますので、パンフレット (pamphlet) は厳密には和製英語ではなく、ちゃんとした英語です。

しかしながら、パンフレットという言葉はあまり一般的ではありません

通常はbrochureという単語を使います。

もし相手が英語ネイティブであれば、pamphletでも通じると思いますが、ノンネイティブの英語スピーカーである場合、通じない可能性があります

よって、常にbrochureを使うほうが無難です。

⑤「サラリーマン」

日本について詳しい外国人や、日本の就労事業を面白おかしく書く英語の記事などでは、あえて salary man という表現を使われることもありますが、これは例外的です

英語には、salary manという表現はありません。

代わりに、一般的にはemployee (従業員) という表現が使われます。

これは、「会社の経営者でなく、会社の取締役でもない、一般の従業員」という意味合いが入っています。

⑥「アルバイト」「フリーター」「パート」

アルバイトはドイツ語で「労働」を意味する単語です。

ドイツ語の「アルバイト」には、「時間給で働く労働者」という意味合いはないので、日本で独自に発展を遂げた単語です

フリーターは、完全な和製英語です。

freeterといった単語はありません

最後にパートですが、これはある意味省略形だと思えば正しいです。

というのも、日本でいう「アルバイト」「フリーター」「パート」これら全部合わせて、英語だと part-time worker (時間給労働者) となるためです。

⑦「プレゼン」

プレゼンは、presentationの省略形だと頭ではわかっていても、ついつい「プレゼン」と言ってしまいそうになる人も多いようです。

なお、presentationは、プレゼンそのものの行為を指します。

そして、プレゼン資料のことは通常、slides (スライド) と言います。

混同しがちになるので、気を付けてください。

⑧「リストラ」

リストラは、restructureの省略形です。

またはrestructuring (再構築)から転じて、人員削減を意味する言葉として日本では使われています。

しかし、英語圏ではrestructureやrestructuringは、「人員削減そのものを示す言葉」ではなく、「人員削減の話が出てくる前の枕詞」のように使われています。

具体的には、このように使われます。

「Due to our company’s restructuring, 10% of worldwide employees will be fired.」(会社の再構築により、全世界の10%の従業員が解雇sれます)

⑨「パソコン」

パソコンが日本ならではの短縮語であることを知っている人は多いでしょう。

では、パソコンのことを英語で何といいますか?

いちいち、personal computer(パーソナル・コンピューター)と言うと長くて面倒ですよね。

よく使われる表現は、PC、computer、そしてノートパソコンの場合はlaptopとも呼ばれます。

PCとcomputerはデスクトップ型でもノートパソコン型でも使えますが、laptopはノートパソコンに限定して使われます。

⑩「ディレクター」

directorという単語には、「従業員の役職としてのdirector」という意味と、「取締役」という意味の両方があります。

従業員としてのdirectorであれば、単にdirectorと言えばよいですが、取締役であることを正しく伝えるには、director of the board (取締役会の取締役、という意味)と言います。

もし和製英語に対応する英単語が思いつかなかったら?

打ち合わせ中に、もし「リストラ」という単語を、「人員削減」の意味で使って、通じなかったとします

こうした場合は、「発音が悪かったかな」と、何度も「リストラ」の発音を工夫して言ってみるより、「別な言葉で言いなおす」とすぐに伝わります

例えば、「リストラ」であれば、「job cut」「fire」といった別な単語で言い直してもよいですし、「employees are needed to go out.(従業員が会社から出ないといけなくなる)」というように文章で言い直してもよいです。

実はこれは、和製英語の言い換えだけでなく、少し難しめの言葉を別な言葉で言い直す、というよく使われているテクニックです。

例えば、IT業界では「IoT (Internet of Things)」という言葉があります。

IT業界の多くの人は知っていますが、IT業界以外の人であればほとんど知られていない言葉です。

こうした通じなさそうな単語を説明する場合、

  • Small devices can connect to the internet for sending and receiving information. This technology or device is called “IoT, Internet of Things”(小さなデバイスがインターネットに接続して情報を送ったり受け取ったりすることができます。このテクノロジーやデバイスのことをIoT, Internet of Thingsと呼びます)

というように、単語や略語そのものの意味を文章で説明すると良いです。

もし、自分の業界の特殊な用語が、相手に伝わらないかも、と思う場合は、別な言葉での言い回しを準備しておくと良いです

まとめ

以上が、ビジネスで注意すべき和製英語トップ10になります。

大切なのは、和製英語に注意はするが、怖がり過ぎないことです。

ただ、和製英語を避けて話をすると、打ち合わせ時の混乱を防いだり、打ち合わせ時間を無駄に使わずに済みます。

「準備して、打ち合わせ時に注意して、場数を増やしていく」ことを心がけてみてください。