英語で「偽物」を表す言葉といったら、真っ先に思いつきそうなのは「fake(フェイク)」でしょうか?
けれど、英語で「ニセ」を指す言葉はそれだけでないどころか、対象物によって様々な単語がある上、言い換えの言葉もたくさんあります。
「ニセ」に関する言葉を使うような状況に遭遇したくはありませんが、現実には様々な「偽」がはびこっています。
そこで、色々な「偽物」を表す英語表現を7種類ご紹介します。
英語の新聞やニュースを理解するためにも、もっと多くの「偽」を意味する単語を身につけましょう。
ニセ金
古今東西、チャレンジし続ける人が存在するのが「ニセ金」作りです。
「ニセ金」を英語でいうと「fake money」や「counterfeit money」などが挙げられます。
- a bunch of fake notes(大量のニセ札)
- a heap of counterfeit coins were found.(偽物のコインが山のように見つかった。)
「heap」とは「堆積物、積み重なり」といった意味です。
「a heap of ○○」とすると「たくさんの○○」という意味になります。
- The guy kept a heap of fake money in his pocket.(その男は、ポケットに大量のニセ金を忍ばせていた。)
「ニセ金を見つける」というときは、「detect」「spot」「identify」などの動詞を使います。
- How to detect a fake note.(ニセ札を見つける方法)
- A machine to spot bogus money.(ニセ金を検知する機械)
- Can I identify counterfeit dollar bills?(ニセのドル紙幣を見分けられるだろうか?)
「ニセ金を作る」は「forge」という動詞で表します。
- forge money.(ニセ金を作る。)
「forge」は、金属を打って製品を作り出す「鍛冶屋」のことです。
「forgery」はその名詞形です。
- banknote forgery(ニセ札作り)
ニセ情報
人を欺くための「ニセ情報」は、「false information」や「disinformation」などといいます。
- Don’t be fooled by false information.(ニセ情報に踊らされるな。)
「false」の反対語は「真実(true)」です。
この2つはセットでよく使われます。
- True or false?(真実か、うそか?)
ニセ情報を「ねつ造する」というには、「forge」「counterfeit」などを使います。
- They tried to forge the evidence.(彼らは証拠をねつ造しようとした。)
- They counterfeited the evidence.(彼らは証拠をねつ造した。)
「false」は、「偽(ニセ)」を意味したいとき幅広くカバー出来る単語です。
- false evidence(ニセの証拠)
- false friendship and true friendship(ニセの友情、本物の友情)
「false」と「true」を「fake」「real」に組み替えて使うことも出来ます。
- fake friend and real friend(ニセの友人、本物の友人)
ニセ者
医者、弁護士などの「ニセ」には「bogus」という単語が使えます。
- bogus doctor(ニセ医者)
- bogus lawyer(ニセ弁護士)
「fake 」を使い、「fake doctor / lawyer(ニセ医者/弁護士)」とすることも出来ます。
- fake teacher(先生もどき)
- fake priest(ニセ司祭)
偽造
サインやパスポートの「偽造」にも「forgery」(名詞)、「forge」(動詞)が使われます。
- This signature was forgery.(このサインは偽造だ。)
- This signature was forged.(同上)
契約書、書類、ニセ金などあらゆる「偽造」を表すのに使える単語です。
- The group had been committed with the forgery of the certifications.(そのグループは、証明書の偽造を行っていた。)
そのような「詐欺行為」を「fraud」といいます。
模造品・コピー
模造品といったらすぐに思いつくのは「コピー(品)」という言葉です。
- That’s a copy of ○○.(それは○○のコピーです。)
- a replica of famous painting.(有名絵画のレプリカ)
「偽造品」「模造品」には、「fake」もよく使われます。
- fake watch(偽物の時計)
- fake iPhone(ニセ物のiPhone)
他に「imitation(イミテーション)」という単語もあります。
- imitation pearl(イミテーションパール、人工真珠)
- imitation gem(イミテーションの宝石)
imitationの動詞形「imitate」には「真似をする」という意味もあります。
- Imitate her voice.(彼女の声音を真似する。)
- Imitate his action.(彼の動作を真似する。)
「knockoff」は、ファッションブランドの衣類やバッグなど「偽ブランド品」を指すアメリカのスラングです。
- knockoff Louis Vuitton bag(偽ルイ・ヴィトンのかばん」
- fake Louis Vuitton.(偽ルイヴィトン)
- a copy of Louis Vuitton(ルイヴィトンのコピー)
人造・人工品
フランス語「faux」は、英語の中で「ニセ、人工の」という意味でよく使われる単語です。
フランス語で「false」を意味する言葉で、英語の名詞と組み合わせて「偽○○」のように使われます。
例えば、日本語では人工の毛皮をよく「フェイクファー」と呼びますが、英語ではよく「faux fur」と呼ばれています。
- faux fur coat(フェイクファーのコート)
- faux diamond ring(偽ダイヤの指輪)
- necklace of faux pearls(人工真珠のネックレス)
「faux diamond」の他にも、「偽ダイヤモンド」を表すにはいくつもの言い替えが出来ます。
- artificial diamond
- fake diamond
- imitation diamond
「作り物、人工、人造」といったときに使う「artificial」は、モノだけではなく、「作り笑い(artificial smile)」のようにも使えます。
- artificial tears(作り涙)
- artificial intelligence(人工知能)
「artificial teeth」といえば「人工の歯=義歯、入れ歯」になりますが、これはまた「false teeth」「fake teeth」ということも出来ます。
「false」や「fake」といった単語がネガティブなニュアンスに聞えることもあるので、代わりに使える「denture(義歯、入れ歯)」という単語も知っておくとよいでしょう。
なお、義歯、義手、義足など、人体の様々な部分を代替する人工物のことを全てひっくるめた言葉が「prosthesis」です。
- prosthetic arm(義手)
- artificial leg(義足)
プラスチックも?
「プラスチック(plastic)」は「人工物」を代表する素材ですが、これもまた「ニセ、まがいの、人間味に欠けた」という意味を持っています。
- Plastic smile(作り笑い)
- Plastic voice(温かみのない声)
- This is a plastic ice cream made from no milk nor egg.(これは、牛乳も卵も使われていない合成的なアイスクリームですね。)
「plastic surgery」といえば「整形・形成」のことです。
事故や病気で失った体の一部を復元するような処置です。
一方、美しさを求めて見た目を変える美容整形は「cosmetic surgery」といいます。
「cosmetics」というと化粧品を指しますが、「見た目の、表面的な」という意味があるのです。
「本物」は?
ひと通りの「ニセ」を知った後は、「本物」を表す言葉も知っておきましょう。
「リアル(real)」という単語はカタカナでよく使われている言葉です。
「実際、現実」といったニュアンスの「本物」を表します。
- The ice cream made from the real milk and eggs.(生の牛乳と卵から作ったアイスクリーム。)
- real friend(本当の友達)
- The biscuit contains real butter.((本物の)バター入りビスケット)
「real butter」とは、牛などの乳から作ったバターのことです。
普段、私たちが「バター」といっているものは「real butter」です。
これに対し「fake butter」「artificial butter」とは、「バターの代用品」すなわちマーガリンなどのことです。
「genuine」は「生粋の」「まがい物でない」といったニュアンスの「本物」です。
- A watch with a genuine leather band.(本皮ベルトの腕時計)
- She is a genuine New Yorker.(彼女は生粋のニューヨーカーです。)
- Please give me your genuine opinion.(本心からの意見をお願いします。)
副詞形になると「genuinely(誠実に、純粋に)」という意味になります。
- He loves her genuinely.(彼は彼女のことを誠実に愛している。)
「正統な」といったニュアンスのある「本物」が「authentic」です。
- authentic Japanese restaurant(正統派和食レストラン)
- authentic signature(本物のサイン)
- authentic Michelangelo painting.(本物のミケランジェロの絵画作品)
動詞「authenticate」は、「本物であることを証明する=鑑定する」という意味になります。
- This vase was authenticated as a real antique.(この壷は、本物のアンティークと鑑定された。)
- Signature authentication(署名鑑定)
まとめ
以上が、「偽物」を表す様々な英語表現です。
「偽物」「本物」を表す英語、あらためて確認してみるとなかなか奥深いものがあります。
「本物」を表す言葉には微妙なニュアンスの違いがありましたし、「偽物」の言い換え表現はたくさんありました。
残念なことですが、新聞やニュースにはここでご紹介したような「ニセ」に関する単語もよく見られます。
知っておくと記事内容の理解が進むでしょう。
投稿者プロフィール
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2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。
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