人の食事には単に好き嫌いだけでなく、主義、アレルギー、宗教的な制限などいろいろなことが関わってきます

誰もが気持ちよく食事をするために事前に「食べられないもの」を確認しておくのは大切な配慮です。

様々な文化・宗教的背景を持つ外国人は、日本人に比べて食習慣の幅がとても広いため、外国人と食事をするときは特に気を付けなければなりません。

様々な国籍のクライアントとお付き合いする上でも必須の知識といえるでしょう。

今回の記事では「食べられないもの・好き嫌いを確認する英語表現」「様々な食習慣に関する基礎知識」も含めてご紹介します!

英語で表現・「好き嫌い」と「食物制限」

「好き嫌い」は英語で「likes and dislikes」です。

「like=好き」「dislike=嫌い、苦手」です。

けれども、アレルギーや持病などにより「好き嫌い」というより「制限」という言葉で表した方がよいケースもあります。

  • likes and dislikes of food(食べ物の好き嫌い)
  • food preference(食の好み、好き嫌い)
  • food restrictions(食物制限)
  • food allergies / food sensitivities(食物アレルギー)
  • I don’t have any food preference.(好き嫌いはありません。)
  • There’s no particular dislikes.(特に嫌いなものはありません。)

「aversion」という言葉もあります。

「拒絶」といった強い拒否感を表す言葉です。

  • food aversion(受け付けない食べ物)
  • I have a strong aversion to raw fishes.(生の魚は全然受け付けません。)

個人的な好き嫌いの他にも、宗教上の規定によって食べない食品というのがあります。

ヒンズー教徒(Hindus)は牛肉を食べません。ムスリム(Muslims・イスラム教徒のこと)やユダヤ教徒(Jewish)は豚肉を食べません。

世間にはベジタリアン(vegetarian・菜食主義者)ヴィーガン(vegan・厳格な菜食主義者)もいます。

もちろん、食物アレルギーを持った人も多く、その原因となる食品は多様です。

次の項では、様々な理由により食べられないものを訊く英語フレーズをご紹介していきます。

「食べられないもの」を訊く英語フレーズ

「食べられないもの」を質問するにも、いろいろな訊き方があります。

「食べたくないもの」「食べないもの」「食べられないもの」ではニュアンスが違いますよね。

「きらいなものはありますか?」と訊くなら次のフレーズを使います。

個人の好き嫌いを訊ねる質問です。

  • Is there anything that you don’t like to eat?(食べたくないものはありますか?)

「食べられないものはありますか?」の質問フレーズは、以下のようなものがあります。

こちらは好き嫌いに関わらず、何らかの理由で食べるわけに行かないものを訊ねる表現です。

  • Do you have anything that you can’t eat?(食べられないものはありますか?)
  • Is there anything that you can’t eat?(同上)

「食物制限の有無はありますか?」という訊き方をするフレーズはこちらです。

  • Do you have any food restrictions?(食事制限はありますか?)
  • Is there any food restrictions?(同上)

「食物アレルギーはありますか?」と訊くならこちらです。

「allergy(アレルギー) / allergic(アレルギーがある)」の代わりに「sensitivity(敏感さ) /sensitive(敏感である)」を使って表現することも出来ます。

  • Do you have any food allergies / sensitivities?(食物アレルギーはありますか?)
  • Are you allergic / sensitive to any food?(アレルギーを持っている食べ物はありますか?)
  • Yes, I’m allergic to ○○.(はい、○○にアレルギーがあります。)

代表的なアレルギー源として、次のような食品があります。

  • wheat(小麦)
  • nuts(ナッツ)
  • shellfish(甲殻類)
  • soy(大豆)
  • eggs(卵)

「お酒を飲む、飲まない」も大切な質問です。

海外には日本よりもたくさんの「飲まない人」がいます。

  • Do you take alcohol?(アルコールは飲みますか?)
  • Do you drink?((お酒は)飲みますか?)

「drink(飲む)」の単語だけで「お酒を飲む」の意味になります。

ついでに喫煙についても確認しておくとバッチリです。

“Do you smoke?”(タバコは吸いますか?)
“I’m not a smoker / I don’t smoke.”(私はスモーカーではありません/タバコは吸いません。)

英語で上手な和食のすすめ方

もし、外国人に「好き嫌いはない」といわれても安心は出来ません。

「好き嫌い」がないからといっても、「刺身や納豆も食べられる」という意味ではないからです。

日本に来た外国人なら本場の和食を楽しみにしている人も多いでしょう。

そんなときは好き嫌いを訊く代わりに、具体的に食べたいものを訊く手もあります。

その方が話も早く済みますね。

“Would you like to eat Japanese meal?”(和食がいいですか?)
“Is there any Japanese food that you would like to eat?”(食べたい和食は何かありますか?)
“Would you like to eat sushi?”(スシはお食べになりますか?)
“Yes, I love to eat sushi.”(はい、是非スシを食べたいです。)
“No, I can’t eat raw fishes.”(生の魚は食べられません。)
“There are some sushi which don’t use raw fishes, if you’d like.”(もしよければ、生の魚を使わないスシもありますよ。)

宗教的な食事制限について

外国人に「あなたの宗教は何ですか?」と訊くのは別に失礼な質問ではありません。

そこから食べ物の話へ移るきっかけにもなります。

  • Are you a Hindu / Muslim / Jewish / Christian?(ヒンズー教徒/イスラム教徒/ユダヤ教徒/クリスチャンですか?)
  • So you won’t eat beef / pork.(では、牛肉/豚肉は食べませんね。)

ちなみに、「イスラム教徒」は英語で「Muslim」と呼びます。

ムスリムの中には、単に豚肉を食べないというだけでなく、「ハラル(Halal)」の肉でないとどんな肉も食べないという人もいます。

「Halal」というのは、イスラムの教義に則って処理された肉・食品のことです。

海外からの訪問者数を増やそうという計画の下、日本でもハラル食品を取り扱う施設も増えつつあるようですが、まだまだ稀なのが現実です。

海外では商品パッケージに「Halal」の表示があるものも目に入ります。ムスリムの人たちも安心して買えるというわけです。

  • These are halal food.(これらはハラル食品です。)
  • This meat is halal.(この肉はハラル処理したものです。)

また、ムスリムとの会食を準備する場合、もう一つ気を付けておかなければならないのは「ラマダン」のことです。

イスラム暦の第9番目の月をラマダン(Ramadan)といいますが、そのひと月の間、イスラム教徒は日の出から日没まで断食をします。

その時間帯は水分も摂らないので、日中はイスラム教徒と食事をすることは出来ません。

丸一日断食したのですから、断食終了の時間(日没時刻)が来たら「待ったなし」で食事をとります。

もし、ラマダン中にイスラム教徒と食事を共にするなら、日没と同時に食べられる時間帯にセッティングする必要があります。

また、日没時刻は毎日変わりますのでしっかり確認しておかなければなりません。

  • What time would you like us to start the meal?(食事は何時に始めたいですか?)

ただし、ムスリム全員が断食をしているとは限らないので、次のように訊いて確認してみるとよいでしょう。

  • Do you fast?(断食はしますか?)
  • Are you fasting?(断食中ですか?)

「fast=断食する」

また、厳格なユダヤ教徒はユダヤ教の教えに則って用意された食事をとります。

そのような食事を「Kosher meal」と呼びます。

ベジタリアン・ヴィーガンについて

最初に触れた通り、ベジタリアン(vegetarian)は「菜食主義者」と訳されます。

肉、卵、魚など動物性の食品を食べません。

ヴィーガン(vegan)はさらに厳しく、動物性食品だけでなく、動物を介して作られた食品も食べません。

つまり乳製品はもちろんですが、ミツバチが介している食品であるハチミツも食べないということです。

「strict vegetarian(厳格なベジタリアン)」といわれたら、「vegan」と同じように考えてよいでしょう。

日本では、ベジタリアンやヴィーガンが安心して食事が出来るレストランも食材もまだまだ少ないですね。

海外ではひと目で「ベジタリアン向け」の食品であることが分かるよう、マークや記載のある商品もたくさんあります。

  • Are you a vegetarian / vegan?(あなたはベジタリアン/ヴィーガンですか?)
  • I’m a pescetarian.(魚は食べます。)
  • I’m an ovo vegetarian.(卵は食べられます。)

ベジタリアンの中には、卵や乳製品はOKというタイプの人もいます。

  • lacto-ovo- vegetarian(乳製品と卵は食べられる)
  • lacto-vegetarian(乳製品は食べられる)
  • ovo-vegetarian(卵は食べられる)
  • pesco-vegetarian(魚は食べられる)

「lacto=乳製品(dairy)」「ovo=卵(egg)」「pesco=魚(fish)」

  • There is a fine vegetarian restaurant.(よいベジタリアンレストランがあります。)
  • They also serve for vegans.(そこでは、ヴィーガンの対応もあります。)

まとめ

以上、好き嫌いや食べられないものを英語で訊くフレーズをご紹介しました。

世界には様々な食習慣があることがあらためて分かりますね。

記事では、単なる「好き嫌い」だけでなく、様々な理由による食事制限についての英語表現にも触れていますので、初めての人と会食をセッティングする前には必読です!

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。