大きなことにしろ、小さなことにしろ、海外で時にはクレームをつけなければならない状況に立たされることがあります。
いくら英語で交渉するのが不安だからといっても、明らかに損害を被りながら泣き寝入りするというのは、お互いのために好ましい態度とは言えません。
特に海外では、軽く見られないためにも言うべきことは言う姿勢は大切です。
「クレーム」というのは、言葉も大事ですがアプローチの仕方も結果を大きく左右します。
しかし、クレームの際に英語でどのように言えばいいのか、わからない人は多いです。
そこでこの記事では、英語でもしっかりと伝えるべきを伝え、解決に導く対応の7つのコツと28個の英語フレーズを紹介します。
双方後味よくクレームをまとめ上げたいときは、ぜひ本記事を参考に対応してください。
また、インターネット通販で起きたトラブルに関しての問い合わせの書き方は以下の記事にも書いてあるので参考にしてください。
これで安心!海外のネット通販で使える英語の問い合わせフレーズ集
「クレーム」は通じない?!
まず始めに、英語で苦情のことを「クレーム」と言っても通じないことを知っておきましょう。
クレーム(claim)は確かに英語ですが、意見を「主張する」や権利を「要求する」という意味であり、「苦情」という意味はないのです。
苦情は英語でcomplainといいます。
苦情を申し立てることをcomplainあるいは、make a complaintといいます。
○○についてというときは、aboutやof、またはthat ~を使って説明します。
クレームの伝え方のポイント
クレームは、まずこちらからアクションを起こすところから始まります。
納得の行く円満解決を求めたいのは、どちらも同じです。
ここでは、事態を効果的に運ぶ7つのクレームを伝えるポイントをご紹介しましょう。
感情的にならない:Stay Calm
状況によっては、怒り心頭ということもあるかもしれません。
けれども、そのようなときこそ落ち着いて冷静に伝えることが非常に大事です。
感情的になってしまっては、すぐに解決するような件も複雑化してしまうリスクが生じます。
まずは、丁寧な言葉と態度で臨み、相手の反応をみるようにしましょう。
出来るだけ早く:Act Quickly
最初に取る具体的な行動は、まず相手に連絡を取ることです。
しかも、クレームが発覚したら出来るだけ早く先方の耳に入れることがポイントです。
時間が経てば、品物やサービスに満足したものと見なされ、交渉が難しくなる可能性があります。
適切な相手と話す:Talk to the Right Person
担当者や担当部署など、クレームを伝えるのに適切な相手と話しましょう。
出来れば店長やマネージャーなど、対応判断の権限がある人と話すのが近道です。
適切な立場の人物に話が通らなければ、埒(らち)があきません。
クレーム内容は簡潔に:Be Simple and Clear
クレーム発生というイレギュラーな状態を、さらにイレギュラーな事態に発展させないためにも、クレーム内容はシンプルな言葉と表現で簡潔に説明しましょう。
そうすることで、誤解などが発生する余地を極力避けることが出来ます。
どうして欲しいのかを明確にしておく:Know What You Want
クレームの内容とともに、相手にどう対応して欲しいのかを明確に伝えるようにしましょう。
先方に要求出来る対応としては、
- 交換(replacement)
- 修理(repair)
- 返金(refund(一部partial refundまたは全額full refund))
- 謝罪(apology)
などが挙げられるでしょう。
クレームを伝えるとき、その目的は感情を伝えることではなく、どう対応して欲しいのかを伝えることにフォーカスする心構えで臨むとよいでしょう。
例えば、ある商品に「がっかりさせられた」としましょう。
その時に、いかにがっかりさせられたかを伝えるというより、誠実な謝罪が欲しい、あるいは繰り返さないための再発防止措置を取って欲しいなどどうして欲しいのかを明確にする必要があるということです。
記録を残す:Keep the Records
購入時のレシートや保証書、契約書、取引の記録など、本件に関係がある書類を揃えておきましょう。
購入や取引の記録がなければ、先方としてもどうしようもありません。万が一、事態が複雑化して第三者の介入を求める場合にも必要となります。
併せて、どのようなクレームがいつ発生し、どのようなやり取りがあったか、日時や相手の名前も入れた「やり取りの記録」も残しておくとよいでしょう。
誠実な対応が得られない場合は:A Useful Tip
クレームはその場で直接伝えられるのが一番手っ取り早い解決策ですが、いつもそう出来るとは限りません。
電話やメールで伝えることも多いでしょう。
けれども、相手によっては、電話をかけてもたらい回しにされたり、メールを送っても一向に返信が来ないというケースもあります。
そんなとき、相手の会社や店のFacebookにメッセージを送ったら、迅速に対応してくれる場合があります。
困ったときの手段の一つとして頭に入れておくのもよいでしょう。
ただし、相手のFacebookページへ「投稿(post)」しないよう注意しましょう。
プライベートなことを、先方を飛び越えていきなり公にするのは不適切です。
まずは、発生した状況を相手の耳に入れ、対応を見るようにしましょう。
住んでいる地区や自治体に消費者相談サービスがある場合もあります。
手に負えない場合は、相談してみるのも一案です。
文章で伝える英語クレーム
クレーム対応時のポイントが分かったところで、次は実際に伝えるための英語表現を挙げて行きます。
宛て名
クレームを伝える際のメールの宛名は以下のように書きます。
- Dear ○○,(○○様) ○○は担当者名
- Dear Sir, または Dear Madam,
クレームの対象を明記
本文に入る前にクレームの対象を述べます。
モノならば品名やモデル等、サービスであれば、その内容など、詳細情報を日付とともに相手に分かるよう明記します。
- I bought ○○ on(日付)at △△.(○月○日に△△で、○○を購入しました。)
クレーム本文
ここからがいよいよ本文です。
書き出し
まずは、これがクレームであることを最初に伝えておきましょう。
- I am writing to complain about / of ○○. (○○について苦情をお伝えすべく、ご連絡差し上げております。)
内容
クレームの内容を分かりやすく説明します。
- The product is faulty / defective / damaged.(製品は、不良品/欠陥品/破損品です。)
- The item arrived damaged / too late.(製品は、破損した状態で/かなり遅れて届きました。)
- The item does not work (properly).(製品は、(きちんと)動作しません。)
- The item is not what I ordered.(製品は注文したものとは違います。)
- The package was opened / was not sealed completely.(パッケージが開いていました/きちんと密封されていませんでした。)
- ○○ is missing.(○○が不足しています。)
- ○○ is quite different from the sample / photo / description.(○○は、サンプル/写真/商品説明とはかなり違っています。)
- ○○ was not acceptable quality.(○○の品質は、満足行くものではありませんでした。)
- The service was not carried out with necessary skill.(技術不足のサービスでした。)
- The amount of the invoice is not correct.(請求書の金額が正しくありません。)
結論
どういう処置を望むのかを書きます。
- I would like the replacement.(交換お願いします。)
- I would like to have it repaired. (修理を希望します。)
- I would like the refund.(返金お願いします。)
結び
最後に結びを書きます。
- I am looking forward to hearing from you.(お返事お待ちしております。)
- I would appreciate if you could reply as soon as possible.(出来るだけ早くお返事をいただけると幸いです。)
- I would appreciate your reply within one week / by (日付).(一週間以内に/○日までにお返事いただけると幸いです。)
添付:Attachment
レシートや納品書など、取引があったことを示す書類のコピーを添付します。
不良品や破損品など、写真に撮れるようなものなら一緒に写真を送ると一目瞭然です。
- Please see the attached photo.(添付の写真をご覧ください。)
- Please find a copy of receipt / delivery note / warranty.(添付のレシート/納品書/保証書のコピーをご確認ください。)
その場で伝える英語クレーム
商品を購入したお店やレストランなどで、口頭でクレームを伝えるときの会話例もご紹介します。
担当者を呼び付けていきなりクレームを始めるようではスマートではありません。
まずは次のような言葉から話し始めましょう
- Excuse me,(すみません。)
- I’m sorry to bother you,(お忙しいところすみません。)
- I’d like you to help me.(ちょっとよろしいですか。)
前項に記載した英文によるクレーム手順と同じように、詳細や状況を伝えます。
レストランでは、頼んだものが一向に出てこないことがあります。
- We have been waiting for our order since (時間).(○時から待っていますがまだ注文したものが届きません。)
- Please take a look…there is an insect in my ○○.(ちょっと見てもらえますか・・・私の○○に虫が入っています。)
- Our reservation was (時間). More than ○ minutes past by now.((時間)で予約したのですが、もう○分オーバーしています。)
製造段階で発生した不具合などで、窓口の担当者の落ち度ではないということも十分あり得ます。
そのような時に以下のような配慮の言葉が使えるよいですよね。
- I understand it’s not your fault.(あなたのせいではありませんが。)
- I’m afraid there has been a misunderstanding.(行き違いかもしれませんが。)
まとめ
以上、英語によるクレーム対応の進め方と伝え方をご案内しました。
スマートにクレームを伝え、和やかかつ公正にまとめることが出来る手腕がある人をdiplomaticな人と呼びます。
外交官(diplomat)というのは、本来そういう人のことを言うのです。
クレーム対応は、言葉だけでなく態度も重要ということを頭に入れ、イレギュラー状況もスマートに乗り切って行きましょう。
投稿者プロフィール
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2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。
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