昔の友人から、久しぶりに連絡が来たので、会ってみたら頼み事ばかりされてうんざりした

このような経験をお持ちの方は、かなりいらっしゃるのではないでしょうか。

そして、英文ビジネスメールでも、ついついこのような押しつけがましいメールを送ってしまう人が多くいます。

日本語であれば「こう書くと押しつけがましい」というのが分かりますが、英語だとそのあたりの感触が分からないということも少なくありません。

よってこの記事では、英語のビジネスメールで押しつけがましいと思われないためのポイントをお伝えいたします。

押しつけがましい英語の言い回しはこれだ

ビジネスにおいて最も多い、押しつけがましい英文メールとは、「物事の依頼」です。

私たちが習ってきた英語では、何かが欲しいときに、学校ではこのように書くと教わったのではないかと思います。

  • I want you to create updated document by this Friday.
    今週の金曜日までに更新された書類をください
  • I would like to arrange two meeting in Bangkok for developing new customers.
    新規顧客開拓のためにバンコクで2件打ち合わせを設定していただきたいです
  • I ask you to compose marketing contract draft by the end of next week.
    来週末までにマーケティング契約の草案を作成してください

「ask」は命令調に近いくらいの、かなり強い依頼になるので、これは上司部下の関係とか、何度も依頼しているがやってくれない人に、しびれを切らして伝える、以外ではまず使わないほうがよいです

次に「want to」についてですが、「自分がしたい」という自分の願望が強く出ている言葉になります。

メールを受けた方は、「あなたはしたいのかもしれないけど、自分の願望をそのまま押し付けて来られても困る。」と感じることが多くあります。

「would like to」は、「want to」のやや丁寧な言い回しになります。

「would like to」は、例えば「買う人・売る人」「サービスを受ける人・サービスを提供する人」というように役割が明確になっている場合、そしてその依頼が簡単なものであれば問題なく使えます。

  • I would like to buy sugar.
    [スーパーにて]砂糖を買いたいのですが
  • I would like to rent a bicyble.
    [レンタサイクル店にて]自転車を借りたいのですが
  • I would like to have two brankets.
    [飛行機の機内で]毛布を2枚頂きたいのですが

ただ、ビジネスで助けたり助けられたり、依頼したり依頼されたりするような関係性であったり、込み入った依頼をするときに「would like to」で依頼されると、「結構面倒なことを軽く頼んでくるな」と思われてしまうことがあります。

ビジネス英語で押しつけにならない依頼方法

では、どのような言い回しをすればよいのか。

ここではビジネス上の依頼で問題なく使える2つの言い回しをお伝えします。

「hope」を使う

「hope」は名詞だと「希望」ですが、動詞だと「希望する」になります。

婉曲的な依頼表現になるので、押しつけがましさが減ります

日本語だと、「してくれるといいな」という感触に近いかと思います。

「hope」を使うと、「直接の依頼ではないので押しつけがましい語の使い方ではないが、読む人はそれが依頼だということがすぐにわかる」ので、便利な語になります。

  • I hope you to complete orders through our system by 5pm, today.
    [今日中に受注を完了させたい営業が顧客に対して] 本日5時までに当社のシステムから受注を完了させていただけますでしょうか
  • I hope our team members start to learn English to reach TOEIC 760.
    [上司から部下たちへのコメント] 私たちのチームメンバーにはTOEIC760点に到達するよう英語学習を開始してもらえればと思います

なお、「hope」に似た語で「wish」がありますが、「wish」は反語的に使われることが多いため、依頼の文脈で使われることは少ないです

「I’d appreciate if」を使う

「I’d appreciate if」は、「もししてくださると大変ありがたいのですが」という言い回しでの丁寧な依頼方法です。

この言い回しも、「あ、依頼だな」ということがすぐにわかりますので、便利に使えるフレーズです。

  • I’d appreciate if you can check my email which I sent two days ago.
    [メールの返信がない人にあてて] 2日前に送ったメールを確認してくださるとありがたいです
  • I’d appreciate if your company can develop add-on program for new insurance system.
    [依頼者が、システム開発企業に対して] 新保険システムのための追加プログラムを開発頂けるとありがたいです

これらに文章は「I’d appreciate if 主語 can やってもらうこと」という、定型的な言い回しなので、とても簡単に使うことができ、それでいて押しつけがましさはゼロという優れた言い回しです。

依頼内容と状況について考えて補足する

例えば、飛行機のキャビンアテンダントに「コーヒー1杯ください」という依頼であれば、いちいち理由を説明する必要はありません

キャビンアテンダントは、乗客にコーヒーを出すのが当たり前で、人間はのどが乾いたらコーヒーなどの飲み物が飲みたくなるからです。

しかし、これが「3カ月後から利用開始になる新価格での見積書アップデート」で、3-4時間かかる仕事だったとします。

このような場合、理由も言わずに他人に3-4時間の作業を依頼するのは失礼ですたとえ、お金を払っている場合でも失礼です

よって、「現在の提案は半年遅れになりそうで、その半年後の価格での見積を顧客から求められている。よって新価格で提案書を作ってください。」ときちんと説明する必要があります

これは、日本語であれば当たり前に行っていることです。

よって、相手に時間を取らせるときには、単に「hope」「I’d appreciate if」を使って依頼すればよいのではなく、背景など正しく説明する必要があります

[英語]

Dear Mr.Richards,

How are you nowadays? Hope all is good to you.

About previous cloud migration project, I’d appreciate if you can investigate issues which is happening between database and marketing system.

After your work completion, our team member tried to apply some update modules but it may not work well.

I do understand you are extremely busy, but we need your support for investigation work. We assume this investigation will be completed within 5 hours.

Your support is highly appreciated.

Best Regards,
Hirohiko

[日本語]

リチャーズさん、

最近いかがですか全て順調であると思います。

以前のクラウド移行プロジェクトについてですが、現在データベースとマーケティングシステム間で起こっている問題について調査をお願いできませんでしょうか。

あなたの作業が完了した後、当社のメンバーがアップデートモジュールを適用したのですが、恐らくこれのせいで正しく動作していません。

大変にお忙しいことは存じ上げております。しかし、あなたの調査のサポートが現在必要な状況です。調査作業は5時間以内には終了できると思います。

ご支援いただければ幸いです。

敬具
博彦

上記例文の下線部が理由を説明している部分です。

  • 作業に時間がかかる場合
  • 社外の人にお願いする場合
  • 契約範囲外の仕事を依頼する場合
  • 緊急を要する場合
  • 相手の方が立場が強いときに依頼する場合

これらが複数重なるようなケースであれば、正しく理由を説明しましょう

まとめ

以上が、押し付けがましくならない英語のビジネスメールの書き方です。

ビジネス英語で、押しつけがましい依頼とならないためには、押しつけがましい言い回しを避けて、「hope」や「I’d appreciate if」の言い回しを使いましょう

そして依頼内容や相手との関係性に応じて、しっかりと依頼内容の背景を補足して伝えるようにしましょう