海外でビジネスを行う場合、平時のやり取りをメッセージアプリで行うこと非常に便利です。

欧米の大手企業だと、会社のコンプライアンスの関係で、会社のメール以外のやり取りを禁じられている場合もありますが、中小企業、またアジアの企業であれば、メッセージアプリ利用の抵抗感は低いです

では、海外のビジネス、英語でのビジネスにおいてメッセージアプリどう使いこなせばよいのか、以下でお伝えします。

なぜメッセージアプリなのか

メッセージアプリを使う理由は、「無料、プッシュ通知、短い文章」の3つがあります。

例えば、Emailであれば、送信するのにお金はかかりませんが、基本プッシュ通知ではありません

よってEmailが到着したことに気が付くまでに時間がかかります。

たとえそれが「はい、進めてください」と一言返信すればよいメールだったとしてもです。

また、SMSだと「プッシュ通知だが、有料」となります。

特に国際SMSは非常に高額であるため、やりとりしていると、あっという間に電話料金が上がってしまいます。

メッセージアプリは、EmailとSMSのいいとこ取りをしているツールです。

スマートフォンから国内海外問わず無料で送れますが、受け取った人はポップアップなどプッシュ通知されますので、返信が早いです。

 

もう1点、メッセージアプリのメリットがあります。

それは、Emailだと、「Dear Mr.Smith,」といった挨拶から始まって「Best Regards,」で締める、という作法があるため、文章が長くなります。

しかしメッセージアプリの場合、何度かやり取りしている相手であれば、いきなり要件だけ送っても大丈夫です

「北京オフィスに会社案内を送ってください」、という内容を相手に送りたい場合のメールとメッセージアプリの文面で比較してみましょう。

(メール)
Dear Mr. Smith,

Good morning. This is Taro of ABC Corporation.
I have one request to you. Could you send your company brochure to our Beijing office? For internal presentation, paper brochure is needed for internal transaction.

Your support is highly appreciated.

Thank you.

Best Regards,
Taro

(メッセージアプリ)
could you send your company brochure to our beiijng office for internal process. thank you!

このように分量は大幅に違います

また、メッセージアプリであれば、きちんとした文章にしなくても許されるという文化があります。

例えば、メッセージを段落分け、改行しなくてもよいですし、大文字小文字の使い分けをしなくても、おおむね問題ありません。

英語の作法を考えることなく、ささっとメッセージを送って、相手が理解できれば、それでよいのです。

そして読むほうもラクです。

いくつもの文章を読んでから返信するのではなく、1文、2文のメッセージを読んで簡潔に返信すれば済むためです。

このようにメッセージアプリを使うことで日常的なやりとりに必要な時間を大幅に短縮することができます

オススメメッセージアプリ4選

次に、どのメッセージアプリを使えばよいか、オススメのメッセージアプリを4つご紹介します。

まず、ビジネスでよく使われるメッセージアプリには、以下の4つがあります。

  • WhatsApp
  • WeChat
  • LINE
  • カカオトーク

WhatsApp

WhatsAppは、世界で最も多く利用されているメッセージアプリです。

はじめは、「お金のかからないSMS」というコンセプトで開発され、有料アプリでしたが、現在では無料化されています

主に欧米圏と、LINEが普及していないアジア諸国で用いられているのが特徴です。

WhatsAppの特徴は、LINEのような可愛らしい画面やスタンプなどがないことです。

逆にこのことが、可愛らしさやスタンプが必要ないビジネス領域で幅広く用いられている理由でもあります。

WeChat

主に中国で用いられているメッセージアプリです。

LINEのように可愛らしいスタンプも、中国と他いくつかの国では決済機能も幅広く利用されています。

中国企業とビジネスする場合には必須のアプリです。

LINE

ご存知LINEです。

日本、台湾、タイでは、LINEが普及しているため、日本で取得したアカウントを使って、そのままやり取りすることができます。

カカオトーク

韓国版LINEだと考えれば間違いありません。

可愛らしいポップな画面、たくさんのスタンプが特徴です。

韓国企業とビジネスする際には必須です

FacebookメッセンジャーはNG

さて、ここで上げなかった有名なメッセージアプリがあります。

それは「Facebookメッセンジャー」です。

なぜFacebookメッセンジャーはビジネスにおいて最適なアプリではないのか、というと、Facebookメッセンジャーは基本、Facebookで友達になることがセットだからです。

ビジネス相手にプライベートな情報を見せたくない

またビジネスがどうなるのか分からないので友達になるにはまだ早いという方が多くいます。

特に欧米では多いです。

友達申請しても「Facebookはプライベートなので」と断られる場合もあります。

よほど仲良くなった、何年もビジネスをしている、向こうからFacebookの友達申請があった、という場合でなければ、Facebookメッセンジャーの利用は避けたほうが無難です。

メッセージアプリで何を気を付ければよいのか

メッセージアプリは日常のやり取りとしては非常に便利なツールです。

しかし、メッセージアプリを使う上で、注意すべき点がいくつかあります

ここでは、海外でのビジネスにおいてメッセージアプリを使う上での2つの注意点をご紹介します。

重要事項のやり取りをしない

重要事項というのは、例えば、契約、価格交渉などです。

合意事項の共有といった、ビジネスにおいて最も重要な場面のやり取りは、お互い会社のEmailアドレスを使って行うことが望ましいです。

これは、単に情報を共有するという意味だけでなく、「お互い会社を代表してやり取りしている。何か問題があれば、このメールが証拠になる」という緊張感をもってやり取りをするためです。

あまり考えたくないですが、「交渉相手のAさんが、所属するB社に合意を取らずに物事を進めていた結果、損失が生じた」ということが起こったとします。

この場合に、損害賠償を求める話になりますが、「Aさんが会社のEmailを使ってやり取りしていた」場合と、「Aさんが個人のLINEを使ってやり取りしていた」場合では、「会社側の責任範囲」が異なってきます

前者であれば、B社の責任とみなされることが多いですが、後者だと「Aさんが個人的にやり取りしていたが、B社とは関係ない。損害賠償はAさん個人に請求してください。」となりかねません。

スタンプを送らない

よほど仲良くなったり、先方からよくスタンプが送られてくる場合は別ですが、自分からスタンプを送らないほうがよいです

ビジネスでスタンプを用いるのは、「率直に感情を伝えられてよい」と思う人もいれば、「子供っぽいのでやめてほしい」と思う人もいるためです。

WeChatやLINEがスタンプを充実させているのに、WhatsAppが充実したスタンプ機能を搭載しないのは、ビジネス用途を考えての判断だと思われます。

相手はビジネス相手だということを忘れない

ビジネス相手とLINEでやり取りすると、急に親しくなった気がして、友達のようにビジネスとは関係ないメッセージを送る人がいますが、これは避けましょう

相手は、あなたのことを友達ではなく、単なるビジネス相手だとみなしている場合、大変に鬱陶しいのです

ビジネス相手だから、反応しないわけにもいかない、でも都度反応するのも時間がかかる、と相手を悩ませることになってしまいます。

よって、ビジネスの内容だけやり取りをするようにしましょう。

まとめ

以上、海外でのビジネスにおいてメッセージアプリを使う方法をご紹介しました。

海外の顧客と打ち合わせする機会があれば、メッセージアプリでやり取りしてよいか確認して、IDを登録してしまいましょう。

そして使ってみるのが一番良いです

メッセージアプリのビジネス利用は、上記の注意点だけ押さえておけば、特に問題になることはありません。

ぜひ、メッセージアプリを活用して、効率の良いコミュニケーションを心がけてみてください