アメリカとイギリスでは、同じ英語という言語が公用語になっています。
しかし、みなさんは「アメリカ英語」と「イギリス英語」にはかなりの違いがあることはご存知ですか?
実際単語や、スペリング、発音などに相違点が多くどちらか一方しか知らないともう一方に触れた時に混乱する人も多いです。
そこで今回はアメリカ英語とイギリス英語の違いを単語、スペリング、発音、表記方法の4つの項目にわけて紹介していきます。
ここで紹介することは英語ができる人に取ってみれば当たり前のことなので、海外に行って急に混乱しないようにしっかりと覚えておきましょう。
もくじ
アメリカ英語圏とイギリス英語圏
ここでは、まずどの地域でアメリカ英語が使われており、どの地域でイギリス英語が使われているのかについてご紹介します。
日本で身近に接する英語はアメリカ英語です。
フィリピンで話されているフィリピン英語もアメリカの植民地だったころからアメリカ英語に近いと言われています。
イギリス式の英語が話されている地域というと、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどが挙げられます。
それらに限らず旧イギリス植民地(イギリス連邦)では、やはりイギリス式の英語が話されています。
アフリカ諸国で出会うのもイギリス英語なのです。
発音とイントネーション
日本でアメリカ風の英語を「英語」として聞いてきた耳には、イギリス英語の音はとっても特徴的です。
まず、イントネーションの明らかな違いが新鮮に聞えるのではないでしょうか。
そしてアメリカ英語では流しがちになる「T」の音がきちんと発音されていることにも、すぐ気付くでしょう。
語尾の子音は、アメリカ英語ではほとんど無声音となって聞き取れないことが多く、その結果ヒアリングに苦労し、言っていることが分からないという状況に陥りやすいものです。
けれどイギリス英語では最後の音までしっかりと発音されるため、日本人の耳には理解しやすいのではないでしょうか。
単語の違い
使われる単語が、アメリカ英語とイギリス英語とでは全く別ものになっているケースがたくさんあります。
例えば、日本語では自動車の車体後部の荷物入れを「トランク(trunk)」といいますが、イギリス英語では「ブート( boot)」と呼びます。
また、私たちがボンネット(bonnet)と呼ぶのはイギリス英語で、アメリカ英語ではhoodといいます。
以下の表に様々なアメリカとイギリスで呼び方が違う単語をまとめました。
アメリカ英語 | イギリス英語 | 日本語 |
truck | lorry | トラック |
steam shovel | excavator | ショベルカー |
power plant | power station | 発電所 |
faucet | tap | 水道の蛇口 |
elevator | lift | エレベーター |
French fries | chips | フライドポテト |
アメリカ英語のcookie(クッキー)は、イギリス英語ではbiscuitになります。
アメリカでbiscuitというと、イギリスのスコーン(scone)のようなものになります。
アメリカ英語では、「貸し家あり」の広告は「For rent」と書かれていますが、イギリス英語では「To let」と表示されます。
- House for rent(貸し家)
- Apartment to let(貸しアパート)
アメリカではガソリン(gasoline)というのに対し、イギリスでは石油を意味する「petrol」を使います。
それに呼応してガソリンスタンドのことも、アメリカ英語ではgas station、イギリス英語ではpetrol stationです。
アメリカの「soccer」に対し、イギリスは「football」です。
- soccer game / football game(サッカーの試合)
- soccer team / football team(サッカーチーム)
ちなみに、サッカーはイングランド発祥のスポーツとはいえ、サッカーの組織を国際的に統括し、ワールドカップを主催するFIFA(国際サッカー連盟)は、フランス語「Fédération Internationale de Football Association」の頭文字です。
英語では「The International Football Federation」にあたります。
ただ、このように言葉の違いがあっても状況で意味が通じることは多々あります。
また、海外の人はある程度は常識として知っていたりするものです。
なので、単語に関しては日常において使い間違えたからと言って大きな混乱を招くことはありません。
辞書にはアメリカ英語「US」、イギリス英語「Brit.」などと表示があるので、今後、辞書を使うときに注目してみるとよいでしょう。
スペルの違い
スペルにも大きな違いがあります。
ここで気を付けておきたいことは、アメリカ英語、イギリス英語どちらを使うにしても「一つの文章で、二者を混同しない」という点です。
文章を作成するときは、アメリカ英語とイギリス英語のスペルが混在している状況は避けるようにしましょう。
zeとse
アメリカ英語で語尾が「-ze」になっている単語は、イギリス英語ではことごとく「-se」になります。
「-ing」や「-ed」の形にするときも、そのまま「-zing」と「-sing」、「-zed」と「-sed」です。
アメリカ英語 | イギリス英語 | 日本語 |
specialize | specialise | 特化する |
organize | organise | 整理する |
summarizing | summarising | 要約する |
realizing | realising | 実感する、実現する |
recognize | recognised | 認める、認知する |
Americanized | Americanised | アメリカ式にする |
orとour
アメリカ英語では「or」となっているところ、イギリス英語では「our」になっています。
アメリカ英語 | イギリス英語 | 日本語 |
color | colour | 色 |
favorite | favourite | 好みの |
humor | humour | ユーモア |
harbor | harbour | 港 |
labor | labour | 労働 |
neighbour | neighbour | 隣人 |
erとre
アメリカ英語とイギリス英語では「er」という部分がしばしば「re」という綴りになることがあります。
ショッピングセンター、アートセンターなどの「センター」は、日本の学校では「center」と習ったと思いますが、イギリス英語ではどれも「centre」というスペルになります。
アメリカ英語 | イギリス英語 | 日本語 |
city center | city centre | 都心 |
fiber | fibre | ファイバー、繊維 |
litter | litre | リットル |
theater | theatre | 劇場 |
ogとogue
アメリカ英語 | イギリス英語 | 日本語 |
catalog | catalogue | カタログ |
dialog | dialogue | 対話 |
monolog | monologue | モノローグ |
lとll
旅行はアメリカ英語でもイギリス英語でも「travel」ですが、進行形や過去形などに変化するとき、イギリス英語では「L」の数が一つ増え、「travelling」「travelled」となります。
アメリカ英語 | イギリス英語 | 日本語 |
traveler | traveller | 旅行者 |
canceled | cancelled | キャンセル済み |
woolen | woollen | ウール製の |
その他の例
アメリカ英語 | イギリス英語 | 日本語 |
skeptical | sceptical | 懐疑的な、疑い深い |
airplane | aeroplane | 飛行機 |
maneuver | manoeuvre | 上手くさばく |
表記習慣の違い
日付
アメリカ英語とイギリス英語では、日付の書き方の違いもよく指摘されます。
アメリカ英語では、「曜日+月+日+西暦」の順番ですが、イギリス英語では、「曜日+日+月+西暦」です。
- Sunday July 2nd, 2017(アメリカ式)
- Sunday 2nd July, 2017(イギリス式)
建物の階の表現
アメリカ英語とイギリス英語で、建物の階の表し方が違うというのは注意が必要です。
○階だと思ったら△階だった、なんていうことになってしまうからです。
実はイギリス英語では、「1階」というと2階のことを指すのです。
1階のことをGround floorと呼び、2階から1、2、3、4階と数えられるので、私たちの考える階層とは1階分ずれてしまうのです。
アメリカと日本は同じ方式ですので、混乱はありませんね。
まとめ
以上アメリカ英語とイギリス英語の違いについて、まとめてみました。
単語の違いはそのまま覚えるしかありませんが、スペルの違いに関しては、書き慣れてしまうと規則性が身に付いて来て、感覚的に書けるようになります。
色々な表現で混同しないようしっかりと覚えておきましょう。
投稿者プロフィール
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2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。
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