英単語・canといえば、アメリカのオバマ前大統領の選挙キャンペーンで連呼された「YES, YOU CAN!」 を思い出すまでもなく、「出来る」という意味を表す単語として誰もが知っていることでしょう。

「あなたにも出来る!」とダイエットの宣伝文句としてもたくさん使われています。

英語には、canを使ったイディオムがたくさんあり、どれも覚えておくと日常重宝するものばかりです。

この記事では、canを使った主な表現をご紹介します。

canの基本確認

まずは、can の基本の意味を確認してみましょう。

最も基本となるのは「~出来る」という可能を示す使い方ですね。

  • I can speak German.(ドイツ語を話せます。)
  • I can cook if you are busy.(忙しいなら、私が料理出来ますよ。)

I can do it.(それ、出来ますよ)といえば、「私がやりますよ」と作業を申し出るときのセリフになります。

notを付けた否定形(cannnot)にすると、「~であるはずがない」という意味になります。

  • It can’t be so.(そんなこと有り得ない。)
  • It can’t be true.(それが本当であるわけがない。)

ちなみに、丁寧・フォーマルにいうときは、 can notまたはcannotとします。

省略形can’t の方がカジュアルな言い方になります。

 

canには他にも、「~してよい」という許可を示す使い方があります。

  • You can go.(行ってよろしい。)
  • You can come with your wife and kids.(奥さんとお子さん同伴で来ていいですよ。)
  • You can eat as much as you want.(食べたいだけ食べていいですよ。)

ちなみに、英語では、「食べ放題」のことを「Eat as much as you can」とこれもcanを使った表現になります。

canを使った使えるイディオム集

基本の使い方が確認出来たところで、canを使った定番の表現、イディオム集を見ていきましょう。

どれも英会話でよく使われるものばかりを集めてあります。

Can’t help ~ing

「○○せずにいられない」という意味の表現です。

  • I can’t stop thinking of ○○.(○○のことを考えずにいられない=○○が頭から離れない。)
  • I can’t stop eating chips.(ポテトチップを食べるのが止められない。)
  • I can’t stop drinking coffee.(コーヒーが断てない。)

can’t stop ~ingも同じ意味です。

アメリカのソウルシンガー、レイ・チャールズ(Ray Charles)1962年のヒット曲に『I Can’t Stop Loving You』というのがありました。

古い歌ですが、今でもそのメロディーは多くの人が耳にしたことあるのではないでしょうか。

邦題は『愛さずにはいられない』でしたね。

You can talk!

「よく言うよ!」「人のこといえた義理ですか?」といった意味のフレーズです。

親しい仲間同士の会話で気軽な相づちとしても使えるのでは?

「The kitchen is always so messy after you cook!」(あなたが料理した後のキッチンは、いつもひどい状態ですよね!)
「You can talk!」(人のこと言えますか!)

I can tell you

文字通り訳すと、「私はあなたに言うことが出来ます」になります。

「本当です」「絶対間違いありません」と断言するときのフレーズとして使ってください。

  • The movie is worth watching. I can tell you.(あの映画は観る価値がありますよ、本当に。)
  • I can’t live without you. I can tell you!(あなたなしで生きていくなんて不可能です。本当ですよ!)

can’t live without~で「~なしではやっていけない」です。

タワーレコードの有名なキャッチコピー「NO MUSIC NO LIFE」は、Can’t live without musicに言い換えることが出来ますね!

You can say that again!

「全くその通り!」と、全面的な同意を示すのに使います。

You said it! としても同じ意味になります

「This pasta is truly amazing! Definitely the best in town.」(このパスタ本当に美味しいね!断トツで街一番の味だ。)
「You can say that again!」(全くそうだね!)

You can’t miss it

「絶対分かるよ」「見逃すはずない」という意味のフレーズです。

例えば、人に道案内するときなど、明らかな目印があるから「絶対分かりますよ」というときに使います。

こういってもらえると、案内された方も安心出来ますよね。

  • There is a huge signboard. You can’t miss it.(巨大な看板があるから、すぐ分かりますよ。)

I can’t believe

「信じられません」というのは、「unbelievable(信じられない)」をさらに強調した言い方です。

  • I can’t believe that she left without saying good bye!(彼女がさよならも言わずに出て行ったなんて信じられません!)
  • I can’t believe that I won a return ticket to New York!(ニューヨークまでの往復航空券が当たったなんて信じられません!)

return ticketまたはround-trip ticketで「往復チケット」です。

片道チケットは、one way ticketとなります。

You never can tell

「確かなことは分からない」「そんなことは分かりませんよ」という意味です。

  • You never can tell who’s going to be promoted next.(次に昇進するのは誰かなんて、誰にも分かりませんよ。)
  • She might like you. You never can tell.(彼女はひょっとすると、君のことが好きかもしれないよ。)

How can you tell? といったら「どうして分かるのか?」と、訊ねる意味になります。

「I think he wants to talk to you.」(彼はあなたと話したいようですね。)
「How can you tell?」(なぜ、そんなことが分かるのですか?)

主語をI に変えてHow can I tell?とすることも出来ます

「どうして私に分かるというのでしょう?」となります。

裏を返してつまりは、「私に分かるわけないでしょう?」という意味なのです。

  • How can I tell if the boss liked it or not?(ボスがそれを気に入ったかどうかなんて、私に分かるわけないでしょう?)

「私には分かりません」とハッキリいうならI can’t tellとなります。

以下の例文で、How can I tell?と組み合わせて使ってみましょう。

  • I can’t tell what’s going to happen next. How can I tell?(次に何が起きるかなんて、分かりませんよ。どうして私に分かるというのですか?)

How could you?

これは「よくもそんなことが出来ましたね?」というフレーズです。

シチュエーションによって称えるセリフにもなれば、咎めるニュアンスにもなります

  • How could you do that?! I can’t believe!(よくそんなことが出来ましたね?! 信じられません!)
  • How could you leave her alone there?(よくも彼女を一人であそこに残して来たものですね。)
  • How could you eat such big steak?(よく、あんな大きなステーキを食べられたものだね。)

微妙なニュアンスを伝える表現を知っておくと、会話が豊かになるのです

ストレートな表現ばかりでなく、ニュアンスを伝えられる表現は深い会話をするためには是非覚えておきたいですね

I can’t thank you enough.

「いくらお礼を言ってもいい足りません」と、深く感謝を伝えたいときによく使われるフレーズです。

  • You saved my life. I can’t thank you enough.(あなたは私の命の恩人です。いくら感謝してもし切れません。)

can’t をneverに代えてI can never thank you enough.とすることも出来ます。

  • I was able to achieve my goal just because of your support. I can never thank you enough.(私がゴールを達成することが出来たのはあなたのサポートがあったからこそです。いくらお礼を言ってもいい足りません。)

can’t be bothered

botherは悩ます、煩わせるという意味の単語です。

I’m sorry to bother you(お手数をお掛けしてすみません)というフレーズもありますよね。

このbotherを使ってcan’t be botheredとすると、「煩わしいことなど出来ない」つまり、「面倒くさい」という意味になるのです。

英語ならではの面白い表現方法です。

  • I can’t be bothered to call her every time. Why doesn’t she want to come without being called?(毎回彼女を呼びに行くなんて面倒くさくて出来ませんよ。なぜ彼女は呼ばれる前に自分で来ようとしないのですか?)

couldn’t be botheredと、過去形にすることも出来ます

「Did you do what I asked you to do?」(やってと頼んでおいたこと、やっておいてくれた?)
「No, I couldn’t be bothered.」(まだだよ、面倒くさくて。)

can’t complain

文字通り「文句は言えない」という意味で使います。

満足ではないけれど、「文句をいうほどではない、そこそこの状態」であるということです。

「How are you?」(調子はどうですか?)
「Can’t complain.」(そこそこだね。)

  • My car has AC problem but I can’t complain it drives at least.(私の車はエアコンが故障しているのですが、とりあえず走るということで文句は言えませんね。)
  • The food was bad but can’t complain because he paid for me.(食事は不味かったけど、文句は言えません。支払いは彼がしてくれたのですから。)

まとめ

「~出来る」だけに留まらないcanの使い方をご紹介しました。

英語ならではの面白い表現方法を使った言い方もありましたね。

英語独特の表現を理解出来るようになったなら「英語感覚」が身に付いてきた証拠です。

いろいろな英語表現に触れることで、そのような英語感覚を磨いていくと、「日本語をそのまま訳したような、たどたどしい英語」から脱皮出来るようになるのです。

今回ご紹介したcanを使ったフレーズをしっかり活用してこの「英語感覚」を身につけましょう

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。