文字通りの訳では意味が理解できないフレーズ/慣用句のことを、英語でIdiomといいます。

額面通りの言葉からは意味が推測出来ないため、この類の表現は知っている人にしか通じません

そのため、ビジネスなどにおいては会話の中で適宜使えると、会話能力の高さを強く印象付ける効果を持ちます。

 

意味が推測出来ないゆえに、イディオムをマスターするには「丸暗記」するしかありません

そして、覚えるのに一番手っ取り早い方法は実践で使ってみることです。

この記事では覚えやすく使える場面がすぐに思い浮かぶような、実用的な13個のイディオムを集めてご紹介します。

会話で、文章で早速使ってみてください。

一度使ってみれば、あなた自身の言葉として身に付くはずです。

Around the corner

このフレーズは、場所を説明するときに使うと「すぐ近くにあります」という意味になります。

  • The police station is just around the corner.(警察署は、すぐそこの角ですよ。)

しかしながら、ここでご紹介したいのはもう一つの意味「まもなく、もうすぐ」です。

とてもよく使われる表現です。

「○○ is going to happen soon」(○○が、まもなくやってくる/もうすぐ起きる)という代わりに使うこともできます。

  • Holiday season is just around the corner.(まもなく休暇シーズンですね。)
  • The completion of the project is just around the corner.(プロジェクトの完成は、もうまもなくです。)

Let’s keep the ball rolling.

「ボールを転がし続けよう」という訳から推測出来そうですが、作業や話を途切れさせないように「続けましょう」という意味です。

例えば、話の最中に話題がそれたりしたときなどに、「本題を続けましょう」と呼び掛けるのに使うことが出来ます。

  • Let’s keep the ball rolling!((ディスカッションを)続けましょう!)

ボールは転がし続けたいところですが、うっかり落としてしまう(drop the ball)こともあるでしょう。

Drop the ballと言ったら、失敗する、しくじるという意味です。

  • I can’t drop the ball, by any means.(何としても、しくじるわけにはいきません。)

be in the same boat

同じボートにいる、つまり「同じ状況にいる」ということです。

  • You are in the same boat as I am.(あなたは、私と同じ状況にいるわけですね。)

他にも同じ意味を持つbe in one’s shoesというフレーズもあります。

  • I would do the same thing if I was in your shoes.(私があなたの立場であれば、同じことをしたでしょう。)

miss the boat(ボートをのがしてしまう)というフレーズは、「好機を逃してしまう」という意味になります。

  • You don’t want to miss the boat after all the efforts you have made.(散々努力した挙句にチャンスを逃したくなんかないですよね。)

cut corners

「角を切り落とす」で、「簡単に/安上がりに済ませる」という意味のフレーズになります。

人間は、何かと手を抜く道を考えてしまいがちです。

そのため、いろいろな場面でよく耳にするフレーズです。

  • People tend to look for the way to cut corners.(人は、簡単に済ませようとしがちです。)
  • Don’t try to cut corners.(手を抜かないように。)
  • I don’t think it’s a good idea to cut corners as to security issues.(セキュリティに関して、安上がりに済ませようとするのは良い考えだとは思えません。)

long shot

これは日本語でいう「ダメもと」という意味になります。

以下のように使われています。

  • Give it a try. You don’t have anything to loose.(やってごらんなさい。何も失うものはないのですから。)
  • I know it’s a long shot but let me try.(ダメもとを承知でやらせてください。)
  • It may be a long shot but let’s give it a try.(ダメもとかもしれませんが、やってみましょう。)

You can’t have your cake and eat it, too

食べ物を使ったイディオムはたくさんありますが、こちらはケーキを使ったイディオムです。

「いいとこ取りは出来ませんよ」という意味です。

  • I want to be able to speak English like natives but I’m not willing to spend my private time for the practice.(英語をネイティブのように話せるようになりたいけど、プライベートの時間を割いて練習する気にはなれません。)
  • You can’t have your cake and eat it.(そんな都合のいい話はありませんよ。)

最後のtooは除いて使われることもあります

ちなみに、「a piece of cake」(一切れのケーキ)というと「簡単なこと」という意味になります。

人に頼まれたことに快諾の返事をするときは、It’s a piece of cake!(お安い御用ですよ)と返答してはいかがでしょう。

on the same page

まるで同じページを一緒に読んでいるかのように、「共に状況を理解し合い情報を共有している」という意味のフレーズです。

ユーモアを感じさせる表現ですね。

  • We are on the same page, aren’t we?(よく分かっているってことでいいですよね?)
  • Make sure everyone in the team is on the same page.(チーム全員が状況を理解しているようにしてください。)
  • We don’t seem to be on the same page. Let me explain again.
    (何だか、お互いにまだ理解し合っていないようですね。もう一度説明させてください。)

screwed up

こちらは、「駄目にする、失敗する・しくじる」という意味のスラングです。

  • My sleep was completely screwed up with the noise from the neighbour.(近所からの騒音で、私の眠りはすっかり妨げられました。)

一つ前でご紹介したon the same pageを合わせて使うと以下のような例文もできます。

  • We are on the same page so there’s less chance of a screw up.(私たちは互いにきちんと状況理解しているから、間違う可能性はほとんどないといってよいでしょう。)

get screwedとすると、「だまされる(get cheated)」の意味になります。

  • I really got screwed up by the guy I met on the street. He approached me with a very gently attitude.(通りで出会った人にすっかりだまされました。とても紳士的な態度だったものですから。)

See eye to eye

「意見が一致する(to be in agreement)」ことを、このように表現したりします。

意見が一致しない場合は、「don’t see eye to eye」となります。

  • We don’t see eye to eye on our likes and dislikes.(私たちは、好き嫌いの趣味が一致しません。)

seeを除いて「We are eye to eye」としても大丈夫です。

  • We are eye to eye on most of the issues.(大体の件については、私たちは意見が一致しました。)

ちなみにeye for an eyeが、有名なハムラビ法典の記述「目には目を」です。

  • Eye for eye, tooth for tooth.(目には目を、歯には歯を。)

Think out of the box

日本語でも、「枠にとらわれずに考える」と言いますが、英語バージョンでは「枠」ではなく「箱」になります。

「古い考えやしきたりにとらわれず、自由に考える」という意味です。

これの逆の意味となるのが「箱の中で考える」Think inside the boxです。

  • We will never reach the solution if we think inside the box. Let’s try to think out of the box.
    (枠にとらわれて考えているうちは、決して解決策は見出せないでしょう。枠にとらわれずに考えてみましょう。)

似た表現で「blue sky thinking」という言葉もあります。

自由な発想を、無限に広がる青空に見立てた表現です。

on the right track

このtrackは、陸上競技のトラックと同じ単語です。

トラック(道筋)を外れず、正しい方向に向かっているという意味になります。

  • Do you think we are on the right track?(私たちは正しい方向へ向かっているのだろうか?)
  • I believe that this new product will put our company on the right track.(この新製品が、会社を立て直してくれると信じています。)

In the black

日本語でも儲けが出ることを黒字、失うことを赤字といいますが、英語でも同様です

  • How can we get in the black?(どうしたら黒字にすることが出来るだろうか?)
  • We expect to get out of red by the year end.(年内には、赤字から抜け出せる見込みでいます。)
  • red ink(赤字)

On the ball

「注意しておく」という意味です。

  • We should have been on the ball.(私たちは、気を付けておくべきだったのです。)
  • Let’s be on the ball. We want to get the project done on time.(しっかり気を張っておきましょう。プロジェクトを予定通りに完成させたいですからね。)

そのままボールに目を向け続けておく「keep one’s eye on the ball」で、「注視しておく」という意味になります。

  • You will have to keep your eye on the ball in the business climate, if you want to succeed.(ビジネスで成功したいなら、ビジネス環境の動向に注視しておくようにしなさい。)

climateという単語は、「気候」という意味です。

  • Climate change such as global warming.(地球温暖化などの気候変動。)

それを「business climate」とすると、ビジネスにまつわる様々な「気候」を意味する表現になります。

つまり、各国の政府や国際的に影響力を持つ会社や組織の動向、景気や様々な経済指標などの判断材料によって示される「経済状況」のことを意味します。

  • What is your opinion about the current business climate of the country?(この国の現在の景気状況について、どう考えますか?)

まとめ

以上が、ビジネスでよく使われる実践的なイディオム13選です。

イディオムには思わぬ意味が隠されていて、面白いですよね。

記事を読みながら、使えそうな場面は浮かびましたか?

状況を思い浮かべてシミュレーションしておけば、そのような場面に出会ったときすぐに口を突いて出て来ますよ

会話の中でタイミングよく繰り出せると、話も弾むものです。少しずつ身に付けていきましょう。

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。