英語で何かが「好き」というとき、likeやloveといった言葉は迷わず挙がって来ると思います。

likeとloveが違うというのは分かるけど、具体的にはどのように違うのでしょうか?

loveは「愛する」という重たい言葉のはずなのに、外国人は簡単に「love」という言葉を口にするのは一体どういう感覚から来ているのでしょう

そもそも、英語で「好き」を表すのにもっと他の言い方はないのでしょうか?

この記事では、likeとloveのおさらいを含め、英語で「好き」を表す8個の表現を探ってみることにします。

I like it.

「それが好きです。」

likeは英語で「好き」を表す基本単語ですよね。

  • I like you.(あなたのことが好きです。)
  • I like sandwiches.(サンドイッチが好きです)

一緒に使う単語の組み合わせ次第で、次のような様々な「温度差」を表現出来ます。

  • I really like it.(本当に好きです。)
  • I like it so much / very much.(とても好きです。)
  • I don’t really like it.(あまり好きではありません。)
  • I don’t like it(好きではありません。)
  • I really don’t like it.(本当に好きではありません。)
  • I don’t like it at all.(全く好きではありません。)

「~するのが好き」というときは「like+~ing」または「like+to」を使います。

  • I like gardening.(ガーデニングが好きです。)
  • I like to drive a car at night.(夜ドライブするのが好きです。)

「I would like to / I’d like to」にすると、「好き」ではなく「~したいのですが」という表現になります。

丁寧なニュアンスで要望を伝えるフレーズです。

  • I would like to come tonight.(今夜お伺いしたいのですが。)
  • I would like to see you.(あなたにお会いしたいのですが。)

I love it.

「それが大好きです。」

シンプルに「好き」を意味するlikeに比べて、loveはもっと強い「愛情やこだわり」を持っている言葉です。

具体的にはどのようなニュアンスなのでしょう?

likeとloveは、オックスフォード英英辞典によると次のような説明になっています。

like:“Find agreeable, enjoyable, or satisfactory.”(心地よい、楽しい、十分であると思えること。)
love:“Feel a deep romantic or sexual attachment to (someone).”(性的な感情も含めた深い愛情を人に対して感じること。)

loveという英語は多くの場合「愛情を持つ、愛する」と和訳されますが、日本語では「愛」という言葉は日常の中ではほとんど使われませんよね。

「恋人への愛情」、「家族への愛情」などという表現がありますが、その愛情を実際に伝えるときの言葉は「愛している」ではなく「大好き」が使われることが多いのではないでしょうか。

英語のlikeとloveを感覚的に理解しようとするなら、likeを日本語の「好き」、loveを日本語の「大好き」に当てはめるとしっくり来ます。

  • I deeply love my girlfriend.(彼女のことが心から大好きです。)
  • I love my son so much.(息子のことがすごく大好きです。)

前述の辞書にはloveのもう一つの意味として、次のような説明もあります。

“Like or enjoy very much.”(とても好き、楽しむ。)

外国人が気軽にloveという言葉を使っているのは、loveにはこういう意味もあるからなのですね。

  • I love your bag.(あなたのバッグ素敵。)
  • I love this song.(この歌が大好きなんです。)

「~することが大好き」というときは「love+~ing」または「love+to」とします。

  • I love jogging.(ジョギングするのが大好きです。)
  • I love to meet people.(人に会うのが大好きです。)

likeの例文のように、loveも言葉の組み合わせ次第でいろいろなニュアンスを表現出来ます。

  • I really love it.(本当に大好きです。)
  • I love it so much / very much.(とても大好きです。)
  • I don’t really love it.(あまり大好きではありません。)
  • I don’t love it at all.(全く大好きではありません。)

以下の文はちょっと分かりにくい表現です。

「大好き(love)という気持ちはなくても、好き(like)という気持ちはあるのか?」と考えられる余地が残っています。

  • I don’t love it(大好きではありません。)

likeのときと同じように、「I would love to / I’d love to」にすると「大好き」ではなく「是非~したいのですが」と、丁寧なニュアンスで要望を伝えるフレーズになります。

likeを使ったフレーズに比べ、こちらは「是非~したい」のようにより強い意志になります。

  • I would love to come tonight.(今夜是非お伺いしたいのですが。)
  • I’d love to see you again.(あなたに是非またお会いしたいのですが。)

I’m fond of it.

これも「love」と同じような強さの感情を持つ言葉です。

辞書では次のような意味になっています。

“Having an affection or liking for.”(愛情を持っている、好んでいる。)

like、loveは動詞ですが、fondは形容詞ですので「be fond of」のフレーズで使います。

  • I’m so fond of the scenery from this window.(私はこの窓からの景色が好きです。)
  • I’m particularly fond of chocolates.(チョコレートが特に好きです。)

likeやloveはその場でふと目にしたものに対して「それいいね」という感覚で使うことも出来ましたが、fondには「愛着・入れ込み」といった情緒的なニュアンスがあります。

そのため、パッと目にしたものを「I’m fond of your bag / this song(そのバッグ/歌いいね)」といった使い方にはなりません。

I’m smitten with it.

ちょっと見慣れない英単語「smitten」という言葉も使ってみませんか?

英語では意外と使われている表現です。

smittenは「殴る、打つ」といった意味を持つ動詞smiteの過去分詞形ですが、「惚れ込んだ、魅了された」という意味を持っています。

辞書の説明書きも見てみましょう。

“Be strongly attracted to someone or something.”(人またはモノに強く魅了されること。)

使うときは「be / become smitten with」のように受動態で使います。

  • I was smitten with her at first sight.(私は一目で彼女に惚れた。)
  • I quickly became smitten with wild roses.(野生のバラにたちまち魅了された。)

I’m attracted to it.

attractは「引き付ける」という意味の言葉です。

遊園地でお客を呼び寄せる「アトラクション」とはこの単語の名詞形です。

be attracted toのフレーズで「愛情を感じて惹かれる、魅了される」という表現になります。

  • I’m attracted to the different type of person every time.(毎回違ったタイプの人に惹かれる。)
  • You should be attracted to more faithful women.(あなたはもっと誠実な女性を好きになればいいのに。)

I’m attached to it.

「結び付ける」という意味の英語attachを使うと、「絆で結びついた」というニュアンスで「好き」を表現出来ます。

attachはメールにファイルを「添付する」というときにも使う動詞です。

  • I’m deeply attached to  her.(彼女を深く愛しています。)
  • We get attached to each other.(私たちはお互いに深い愛情を感じるようになっています。)

名詞形「attachment」を使って表現することも出来ます。

「愛着」といったニュアンスです。

  • I feel an attachment to this country.(この国に愛着を感じる。)
  • We developed a strong attachment to this puppy.(私たちは、この子犬に強い愛着を持つようになった。)

It’s my favourite.

「favourite」「好き、贔屓(ひいき)の、お気に入りの」という意味の言葉です。

favouriteはイギリス風のスペル、favoriteはアメリカ風のスペルです。

favouriteの元になっている単語favourには「えこひいき」という意味があります。

コネで就職や地位を斡旋したりする「えこひいき」はfavouritismと呼ばれます。

そんなイメージからも想像出来るように、favouriteは「他を差し置いて、とりわけ好きな」といったニュアンスで「好き」を表す言葉です。

  • This is my favourite photo.(これは私のお気に入りの写真です。)
  • It’s my favourite time of year.(今が一年の中で私が一番好きな季節です。)

favouriteは名詞でもあります。

  • This movie is my all-time favourite.(この映画は、決して変わることのない私のお気に入りです。)
  • He is a favourite of my teacher.(彼は私の先生のお気に入りなのです。)

I have an affection for / toward ○○.

affectionは「愛情」を意味する名詞です。

「~に対して愛情を持っている」という言い方で「愛情」を表現するフレーズがこれです。

基本的に人間やペット・動物などの生き物に対して使われます。

  • I already have an affection for this small creature.(私はすでにこの小さな生命に愛情を感じている。)
  • I have an affection toward these children.(これらの子どもたちに愛情を持っています。)

まとめ

以上、「好き、大好き」という気持ちを表す8個の英語表現を集めてお送りしました。

使い慣れているlikeやlove以外にもいろんな表現があることが分かりましたね。

自分が好きなものを人に伝えるとき、それに対する自分の気持ちに合わせて言葉も変えてみてはいかがでしょう

今回ご紹介した表現を使えば、どれほど好きなのかといった「度合い」だけでなく、どんな感情を抱いて「好き」なるのかまで伝えることが出来ますよ!

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。