「どっちがいい?」と訊かれて決めかねるとき、「どっちでもいいよ」と相手に決定を委ねてしまうのはラクな答え方です。

質問への答えとしてはあまりおすすめする返答ではありませんが、知っておくと便利な表現であることには違いありません。

実際、どちらでも構わないという状況はあるからです。

ただし、「そんなことはどっちだっていいよ」のように、決定を放棄した投げやりな「どっちでもいい」もあるので、フレーズの選び方には注意が必要です。

この記事では「ニュアンス別・どっちでもいいを意味する英語表現」をご紹介します。

「相手の気を悪くさせない答え方と感じの悪い答え方の違い」をしっかり掴みましょう!

I don’t mindとI don’t careの違いとは?

まずはよく知られているこれら2つのフレーズの説明から始めましょう。

どちらも「どっちでもいい」という意味で頻繁に使われるフレーズです。

けれども、両者のニュアンスには明かな違いがあることを頭に入れておく必要があります。

双方とも「私は気にしない」という意味でありながら、「I don’t care」の方には「無関心さ」を示すニュアンスがあります。

せっかく「どっちがいい?」と意見を訊いてくれた相手に「そんなことはどうでもいい=どっちでもいい」と返答しては失礼ですよね。

もう一方の「I don’t mind」 にはそのようなニュアンスはありませんので、素直に「どっちでもいい」といいたいときは「I don’t care」ではなく「I don’t mind」の方を使うことをおすすめします。

「どっちでもいい」を表す英語表現

英語で「どっちでもいい」を表現するフレーズは「I don’t care」と「I don’t mind」だけではありません。

ここからは、さらにいろいろな「どっちでもいい」の言い表し方をご紹介していきます。

なお、「fine」の部分は「good」「nice」「OK」「great」などに入れ替え可能です。

「good」「nice」「OK」はニュートラルですが、「great」だと積極性を感じさせます。

「どっちでもいい」のフレーズのあとには、「あなたが決めて」というフレーズを付けてもう一押しすることも出来ます。

下記はどれも「どっちでもいいよ、あなたが決めて」という意味です。

  • Either is fine. You choose.
  • Whichever is fine. You pick.
  • Both are fine. You decide.
  • Anything out of the two. You make a choice.

Either is fine.

最も好感の持てる、基本的な「どっちでもいい」のフレーズです。

「either」は「2つあるうちのどちらか」を意味する単語です。

  • “Would you like us to go out or stay home?(一緒に外出するのと家にいるのどっちがいい?)
  • “Either is good with me.”(私はどっちでもいいよ。)
  • “Either is fine by me.”(同上)

Whichever is fine

「2つあるうちのどちらか」を意味する単語には「whichever」もあります。

このフレーズも文字通り「どっちでもいい」を表しています。

“Japanese and French, which food would you like to eat?”(和食とフレンチ、どっちが食べたいですか?)

“Whichever is fine.”(どっちでもいいです。)

「is fine」の部分を省略して「Whichever」だけで答えることも出来ますが、丁寧さに欠けます。

口調次第では投げやりで乱暴な印象にもなりますので注意しましょう。

ちなみに「Whatever」で答えると、「どっちでもいい」ではなく「どれでもいい、何でもいい」になります。

「どっちがいい?」と訊かれたとき、「Whichever」と「Whatever」のどちらを使って答えても意味は伝わりますが、実際はこれら2つには明らかな違いがあることを知っておきましょう。

  • “What music do you want me to play?”(どの音楽をかけて欲しい?)
  • “Whatever is fine.”(何でもいいよ。)

「Whatever is fine」も「is fine」を省略すると、「何だっていいよ」のように乱暴に聞こえてしまう点は同じです。

「you like」や「you want」を付けると、「あなたが好きなもの/あなたが欲しいものでいい」という意味になります。

併せて覚えておくと便利ですよ。

  • Whichever you like.(どっちでもあなたが好きなものでいい。)
  • Whichever you want.(どっちでもあなたが欲しいものでいい。)
  • Whatever you like.(何でもあなたが好きなものでいい。)
  • Whatever you want.(何でもあなたが欲しいものでいい。)

Both are fine

「双方」を意味する「both」を使った表現です。

「どちらもいいです=どっちでもいい」という感じになります。

  • “Can I get you hot coffee, or iced?”(ホットコーヒーとアイスコーヒーどっちがいい?)
  • “Both are fine. Same as yours.”(どっちでもいいよ。あなたと同じので。)

「equally(同じように)」を付けて「どっちとも決め難い」という意味を作ることも出来ます。

  • “Which colour should we choose?”(どっちの色にした方がいいかな?)
  • “Both are equally nice.”(両方とも同じくらい良いね。)

Anything out of the two

「その2つのうちどっちでも」という意味です。

単に「Anything (is fine)」とすると「何でもいい」という意味になります。

  • “Fish or meat?”(魚と肉どっちがいい?)
  • “Anything out of the two.”(どっちでもいいよ。)

注意したい「どっちでもいい」のフレーズ

「どっちでもいい」という言葉は、状況や言い方次第で「(そんなことは)どっちでもいい」のように無関心で投げやりな返答にもなってしまいますよね。

ここでは、そのようなニュアンスがあるために注意が必要な「どっちでもいい」のフレーズに触れます。

It doesn’t matter

このフレーズの文字通りの意味は、「それは問題ではありません」です。

「2つのうちどちらでも問題ありません=どっちでもいい」という捉え方が出来るというわけです。

しかし例えば、「どっちがいいですか?」と親切に好みを訊いてくれた人に対して、「それは問題ではありません」といった答え方は少しニュアンスが違うように思いませんか?

「どっちでもいい」と言いたいのは分かるけど、そもそも「どうでもいい」といった突き放したニュアンスがあります。

  • “Which one do you like?”(どっちが好き?)
  • “It doesn’t matter”(どっちだっていいよ。)

このフレーズ自体にはネガティブなニュアンスはありません。

「それは問題ではありません、大丈夫です」という意味でよく使われるフレーズです。

「どっちでもいい」の意味として使うにはストレートな答えではないということだけ頭に入れておきましょう。

  • “Is this T-shirt too small for you?”(このTシャツはあなたにはちょっと小さ過ぎるかな?)
  • “It doesn’t matter. I can manage.”(大丈夫ですよ、何とか入ります。)

It makes no difference

こちらのフレーズの文字通りの意味は「両者に違いはない」です。

つまりこれも「どっちでもいい」と言っていることになるフレーズですが、例えば人に「コーヒーと紅茶どっちがいいですか?」と質問したと仮定してみてください。

相手から「どちらでも違いはない」という返事が返って来たとしたらどうでしょう。

この質問に対する答えとしては必ずしも適切な答え方ではないと思いませんか?

少なくとも丁寧な答えとは言えません。

  • “Do you think I should make my hair shorter?”(髪を短くした方がいいと思う?)
  • “It makes no difference.”(どっちだっていいよ。)

このフレーズ自体にはネガティブな印象はなくニュートラルな表現ですが、「どっちでもいい」という意味で使うには注意が必要です。

例えば、次のように「AかBの選択」を迫られている状況でない場合ならしっくり来ます。

  • “Sorry, I forgot you prefer coffee without milk!”(ごめんなさい、あなたはコーヒーにミルクを入れないってこと忘れてました。)
  • “It makes no difference. It’s OK.”(どっちでもいいですよ、大丈夫です。)
  • “It doesn’t make difference.”(どっちでもいいですよ。)
  • “It doesn’t make much difference.”(たいして違いませんよ。)

まとめ

以上、「どっちでもいい」を表す英語表現をご紹介しました。

ニュアンスによって「どうだっていいよ」のように感じが悪く聞こえるケースもあるので注意が必要でしたね。

そもそも英語でコミュニケーションする際は、「どっちがいいか」と意見を訊かれて「どっちでもいい」と答えること自体あまりおすすめしません。

本当にどっちでもいいのなら、どちらかを選んでしまう方が話が早く済みます。

「どっちでもいい」を使い過ぎると「決断出来ない人」と思われかねませんので、その点も注意したいですね。

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。