全ての出来事は偶然か必然か?(Are the occurrence of events inevitable or coincident?)

といった答えのない質問があります。

人生に影響を及ぼすような決定的な偶然や、日常の小さな偶然は誰もが数え切れないほど経験して来たはずです。

運命の巡り合わせを感じさせる偶然の数々は、英語ではどのように表せるのでしょうか

この記事では、「偶然」を表現するときに使う英語フレーズを13種類ご紹介します。

これらのフレーズを使えばこれからは「偶然起きた出来事の楽しさや驚き」を人と一緒に分かち合うことが出来るようになります!

「偶然」を意味する言葉:シンクロニシティとセレンディピティ

偶然を意味する「英語表現」をご紹介していくにあたり、偶然を意味する「言葉」にも少し触れてみたいと思います。

「シンクロニシティ(synchronicity)」という単語に聞き覚えがある人も多いかもしれません。

イギリスのバンド「The Police」の名曲が詰まったアルバムのタイトルの一つがこの名前でした。

オリンピック種目の「シンクロナイズドスイミング(synchronised swimming)」が思い浮かんだ人も多いでしょう。

日本語でも、偶然タイミングが一致した状況などを指して「シンクロする」のように使われたりします。

「synchronicity」とは、「同時性、偶然の一致」といった意味を持つ抽象的な言葉です。

「オックスフォード英英辞典」には次のような定義が書かれています。

“The simultaneous occurrence of events which appear significantly related but have no discernible causal connection.”(無関係であるはずのことが、いかにも関連しているように同時に発生すること。)

スイスの精神科医で心理学者のユングが作った言葉です。

もう一つ、「偶然」という言葉で浮かぶ言葉に「セレンディピティ(serendipity)」があります。

こちらは辞書に“The occurrence and development of events by chance in a happy or beneficial way”(偶然に幸運が重なること)と説明されています。

作家Horace Walpoleが書いた18世紀のおとぎ話「The Three Princes of Serendip」が元になった言葉です。

日本語ではなかなか言い表しがたいこれらの英語を覚えておくのも良いのではないでしょうか。

synchronicityやserendipityの説明にピッタリ来るような出来事を経験した記憶はありませんか?

「偶然」を表現する英語フレーズ

さて、偶然が起きたとき英語でどのように表現するのか、ここからは具体的なフレーズを確認していくことにしましょう。

happen to

出来事が「起きる、発生する」という意味を淡々と伝える英語が「happen」です。

  • Something happened in the ground.(グラウンドで何かが起きた。)
  • A small conflict happened between them.(彼らの間で小さないさこざが起きた。)

これを「happened to」とすると「偶然に起きた」というニュアンスが生まれ、偶然性を表現をするのに適した言葉になります。

好ましい偶然・好ましくない偶然のどちらのでも使えるとても便利な表現です。

  • It just happened.(それは偶然起きたことです。)
  • She happened to be my next door.(たまたま彼女がお隣りさんだった。)
  • It happened to be true.(たまたまそれが事実だった。)
  • I happened to know your father.(たまたま、あなたのお父様を知っています。)
  • Let me know if you happen to see her.(もし偶然彼女に会うことがあったら、私に教えてください。)
  • I happened to misplaced her phone number.(たまたま彼女の電話番号を無くしてしまった。)
  • We happened to sit side by side.(私たちはたまたま隣り合わせに座った。)
  • What would you do if I happen to know the result?(私がたまたま結果を知っているとしたら、あなたはどうしますか?)
  • I happened to know their secret.(たまたま彼らの秘密を知ることになった。)
  • The restaurant happened to be closed today.(レストランは今日はたまたま休みでした。)
  • She happened to be out.(彼女は、たまたま不在でした。)

by luck

luckは「幸運」を意味する言葉なので、好ましい偶然が起きたときに使います。

  • I got the job by luck.(うまい具合にその仕事を得られた。)
  • I found it by luck.(偶然それを見つけた。)
  • I got a help by luck.(偶然助けてもらえた。)
  • We are leaving on the same day by luck.(私たちは偶然一緒の日に発ちます。)

luckily

luckの副詞を使うと、「luckily(幸いに、うまいことに)」という意味になります。

  • Luckily, I got my house near my office.(幸いにも自分の職場の近くに家を見つけた。)
  • Luckily, it was perfectly fixed.(幸いにも、それはきちんと修理出来た。)
  • Luckily, I found 10,000 in my pocket.(幸い、ポケットに一万円入っているのを見つけた。)
  • Luckily, we got a lift to get there.(うまい具合に、私たちはそこに行くのに車に乗せてもらえた。)

「lift=車などに乗せてもらうこと」

by chance

「by luck」には「幸運な偶然」というニュアンスがあるのに対し、こちらはニュートラルに「偶然、たまたま」を表します。

  • I only know her by chance.(彼女のことは、たまたま知っていただけです。)
  • I got this only by change.(これを手に入れられたのは、ほんの偶然なんです。)
  • I got to know the news by chance.(たまたまそのニュースを知ることになりました。)

「take one’s chance」「運試しをする」という意味になります。

  • I’ll take my chance.(うまく行くか、試しにやってみます。)

by accident / accidentally

そもそもaccidentという言葉には、「偶然」という意味があります。

by accidentで「偶然に」という意味になります。

  • We reached there by accident.(私たちは偶然ここにたどり着きました。)
  • Our relationship began all by accident.(私たちの関係はまったくの偶然から始まりました。)

accidentallyを使っても同じ意味になります。

  • Did he do it deliberately or accidentally?(彼がそうしたのはわざとなのか、偶然なのか?)

また、不運な偶然が起きたときに「うっかり、誤って」というネガティブなニュアンスでも使えるのが、これらaccident関連の表現です。

「accident(アクシデント)」には「事故、災難」という意味もありましたね。

  • I machine-washed my cashmere sweater by accident.(カシミアのセーターをうっかり洗濯機で洗ってしまった。)
  • My ticket was accidentally cancelled.(私のチケットが誤ってキャンセルされてしまいました。)

coincidence

incidenceという単語は「事件」「出来事」という意味です。

そこに、漢字の「共」にあたる言葉「co-」が付くことで「共に起きること=同時発生、一致(coincidence)」という意味になった言葉です。

  • It was just a coincidence.(それは単なる偶然でした。)
  • We met by coincidence.(私たちは偶然出会いました。)
  • Can you believe all these happened by coincidence?(これら全てが偶然に起きたなんて信じられますか?)

「What a coincidence!」 は、「偶然だね!」というときの定番フレーズです。

  • So, we are from the same city? What a coincidence!(じゃあ、私たちは同じ街の出身なのですね。奇遇ですね!)

come across

「偶然出会う、偶然見つける」という意味のフレーズです。

  • We came across on the way to the station.(私たちは駅までの途中で偶然出会いました。)
  • I came across the book that I was looking for.(私は探していた本を偶然見つけました。)
  • I came across a load of good luck in my life.(私は人生でたくさんの幸運にめぐり合いました。)
  • In 1492, Columbus came across a new continent.(1492年、コロンバスは偶然新大陸にたどり着いた。)

discover

「発見するiscover」というという意味の単語discoverを使えば、「偶然に見つける」という意味になります。

  • Agents are trying to discover potential singers.(エージェントは歌手の才能を発見しようとしている。)
  • My lost wallet was discovered at the station.(無くしてしまった私の財布が駅で発見された。)

run into

たまたま人に出会ったときは「run into」も使えます。

「ぶちあたる、遭遇する」といったニュアンスです。

  • I run into my old friend this morning.(今朝、たまたま古い友人に遭遇しました。)
  • I run into my boss at the restaurant last night.(昨日の夜、レストランで偶然上司に遭遇しました。)

unexpectedly

「思いがけず、予期せず」という意味の言葉です。

「期待する」を意味する「expect」が元になっています。

  • We met again unexpectedly.(私たちは偶然また出会いました。)
  • I unexpectedly heard about their new plan.(私はたまたま彼らの新しい計画を耳にしました。)

まとめ

以上、「偶然、たまたま」を意味する英語表現をご紹介しました。

何かを「見つけた」というのと「偶然見つけた」ではニュアンスが違いますよね。

ご紹介したような表現を使えば「偶然性」を伝えることが出来ます。

同じ「偶然」でも、好ましい偶然・好ましくない偶然もあります。

言いたいニュアンスに合うよう、言葉を選んで使うことが大事です

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。