物事はなんでも白黒ハッキリしていればよいというものではありません。
時にはあえて言葉を濁したり、あいまいな表現を使う方がスムーズに行くこともあります。
大人になると、状況に応じてそのような表現を適宜使える方が「知的」な印象を与えることさえありますよね。
不確かだから言葉をぼかしておく、あるいは無用なトラブルを避けるために言葉を濁すなどのテクニックを英語でも知っておくと役立つものです。
そのような「英語であいまいに表現するテクニック」を身に付けたいと思った方、この記事をご一読ください。
まずは、英語で「あいまい」を意味する単語にはどんなものがあるのかをみてみましょう。
- ambiguous(いろいろ解釈が出来る、どっちつかずの)
- ambiguous definition(あいまいな定義)
- unclear(明快でない)
- unclear reasons(あいまいな理由)
- equivocal(あいまいで胡散臭い)
- equivocal explanation(あいまいな説明)
- obscure(判断しかねる)
- obscure pronunciation(あいまいな発音)
- vague(不明瞭な)
- vague answer(あいまいな返事)
- uncertain(確実性が薄い、不確定な)
- uncertain position(あいまいな立場)
- abstract(抽象的な)
- abstract story(抽象的な話)
何かが「あいまい」なときは、上記のような単語を使って表現してください。
ここから先は、「あいまいな表現」を作る方法をご紹介していきます。
もくじ
some
明確な量ではなく、「いくらか、だいたい」といったあいまいな数量を表すときに大活躍する英単語が「some」です。
“Do you have some money?”(いくらかお金を持っていますか?)
“Like how much?”(どのくらい?)
“Something like 100 dollars.”(100ドルくらいとか。)
数量に関して使うだけでなく、「全部ではないが、その一部は○○である」という表現を作るのにも使います。
- Some grownups are not matured.(成長していない大人もいる。)
「grownup」は、「大人(adult)」を意味するカジュアルな表現です。
“How was the food?”(食べ物はどうだった?)
“Some dishes were OK.”(悪くない料理も合ったけど。)
この返答の場合、「ほとんどは美味しくなかった」ということを示唆しています。
「some」には、「何らかの」という意味もあります。
「いくつかの」という意味で使う場合、someに続く名詞は複数形になりますが、「何らかの」といった意味で使う場合は単数形のままです。
- Can you give me some advice?(何かアドバイスをいただけませんか?)
この文では「複数のアドバイス(some advices)」ではなく、「何らかのアドバイス(some advice)」を求めています。
- Do you know some place where we can talk privately?(内密に話せる場所をどこか知っていますか?)
この文では「いくつかの場所(some places)」ではなく、「どこかの場所(some place)」を訊ねています。
「some」は、単純に言葉を濁すときにも使います。
以下の文章では、「I need a help」「Would you like tea?」といっても済むところ、わざわざ「some」を付けています。
こうすることでダイレクトな響きを和らげる効果が出るからです。
そのため、このような場合「some」に「いくらかの」などといった訳を付けることは不要です。
- I need some help.(ちょっと手伝って欲しいのですが。)
- Would you like some tea?(お茶でもいかがですか?)
日本語でも、響きを和らげるために「お茶でもいかがですか?」といったりしますよね。
こちらも、「そのうちに」といった感じで、あいまいな言い方をしている表現です。
- Come over sometime next week.(来週にでも来なさいよ。)
- I’ll come again sometime soon.(まあ、近いうちにでもまた来ます。)
something
「明確にはいえない何か」を表すのに使います。
- Something is missing in this stew.(このシチューには何かが足りない。)
- Something is wrong with you.(君の様子が何かおかしい。)
- She has something strange in her attitude.(彼女の態度は何か変だ。)
- If you knew that, do something.(それが分かっていたなら、何とかしてくださいよ。)
- No worries. We will think of something.(心配いりませんよ。そのうち何かしら考え付くでしょう。)
数字に関して、このようなあいまい表現をすることもありますね。
- He’s thirty something.(彼は30いくつですよ。)
- I think it cost eighty something dollars.(それは80数ドルしたと思うよ。)
kind of / sort of / type of
これらもまた、「~のような」と言葉をぼかした表現をするのに使います。
どれも同じように使えます。
- Kind of.(まあ、そんなところですね。)
- It was a kind of mistake.(それはまあ間違いだったというところです。)
- I’m not interested in that sort of thing.(そういったものには興味はありません。)
- You can call it a kind of partnership.(まあ、パートナーシップとでも呼んでください。)
- I want to drink some kind of juice.(何かジュースみたいなのが飲みたいです。)
- He’s not that type of person.(彼はそういった類の人ではありません。)
対象が複数の場合は複数形になります。
- Those kinds of attitude irritate me.(そういった態度にいらいらさせられるんですよ。)
このような使い方で、目的の言葉をあいまいにすることも出来ます。
- I’m kind of tired.(何か、疲れた感じ。)
- It’s kind of strange.(何かちょっと変な感じ。)
let’s say / say
「そうだなあ・・・」というように明確な言葉に詰まったときに使います。
“What time shall I come?”(何時に伺いましょうか?)
“Any time in the afternoon…let’s say at 4?”(午後ならいつでも・・・4時にしますか。)“How many of you are coming?”(何人で来ますか?)
“I’m not sure… let’s say 2 of us.”(さあ、どうだろう・・・とりあえず2人ということで。)
「おおよそ、だいたい」の意味でも使えます。
- Let’s say, 20% of students marked triple A in my class, I guess.(私のクラスでは、ざっと20%くらいの生徒がトリプルAの成績を取ったかな。)
- The production will be usually doubled in, say, half a year.(通常、生産量はざっと半年で倍になります。)
not really
「あんまり~でない」という表現を作ります。
- Sorry, I don’t really like it.(悪いけど、それはあんまり好きではありません。)
- I don’t think it really is a good idea.(それはあまりいいアイディアとは思えません。)
- In fact, I don’t really know about him.(実は、彼のことはあまりよく知りません。)
- It’s not really true what he said.(彼がいったことは、あまり事実ではありません。)
maybe / perhaps
これらは2つとも、「多分、おそらく」を意味する英語です。
どちらも確率は変わりませんが、「perhaps」の方が丁寧で上品な響きがあります。
- Maybe I’ll ask her again tomorrow.(まあ、明日にでもまた彼女に訊いてみようかな。)
- We can wait until next week, maybe.(来週まで待てる、かもしれません。)
- Perhaps, it might be true.(ひょっとして、それって本当かもしれませんよ。)
- Perhaps, he might know something about it.(彼がそれについて、何か知っているかもしれませんね。)
I think / I guess
どちらも「~ではないだろうか」と、断言を避けた言い方になります。
「guess」は「推測する」という意味です。
- I think it’s ok.(OKだと思いますけど。)
- I think the bakery is still open.(パン屋はまだ開いていると思いますけど。)
- I think they will come.(彼らは来るんじゃないかと思いますけど。)
- I think the deadline was Friday.(締め切りは金曜日だったと思いますけど。)
- I guess so.(そうじゃないかなあ。)
- I guess this will be enough.(これで十分じゃないかなあ。)
- I guess we are a bit late.(私たち、ちょっと遅刻してるかも。)
- He might not really know, I guess.(彼はあまり知らないんじゃないかなあ。)
a few / a bit / a little / a while
確実な数や量が分からないときは「少し、ちょっと」などといってあいまいな表現をしますよね。
- Can you give me just a few of these?(これらをちょっとばかりもらえないかなあ?)
- I have a few question to ask.(ちょっとばかり訊きたいことがあるのですが。)
- I felt a bit of sadness.(何となく寂しさを感じた。)
- It’s a bit difficult to say.(ちょっと言葉にするのが難しいな。)
- I know him only a little.(彼のことは少しだけ知っています。)
- This is a little gift for you.(これは、あなたにちょっとした贈り物です。)
期間を明確にせず、「しばらく」と濁すときは次のように表現します。
- It took me a while to find him.(彼を見つけ出すのにしばらくかかった。)
「for a while」で「しばらくの間」です。
- I will be out of town for a while.(私はしばらく町を出ます。)
- Don’t give up so easily. You should wait and see for a while.(そう簡単にあきらめないで。しばらくの間、様子を見ていなさい。)
まとめ
以上、「物事をあいまいに伝えるための英語表現」をご紹介しました。
コトをあいまいに伝える表現はたくさんありますが、中でも「some」は使い勝手がある単語です。
この記事では「some」と「something」に触れましたが、他にも「somehow」や「somewhat」を使った表現があります。
数字をあいまいに表すときの「だいたい」「おおよそ」といった英語表現については別の記事がありますので、そちらも併せてご覧ください。
また、「例えば」「~など」の英語表現を集めた記事もありますので、そちらもどうぞ!
投稿者プロフィール
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2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。
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