英単語「this 」「that」は英語学習の最初に習うからといって、そうシンプルな単語ではありません。

最初に覚えたのは「これ、あれ」といった簡単な意味でしたが、英語のレベルがアップするに連れて、もっと奥深い使い方をたくさん知ることになります

この記事では、よく知っているはずの「this」や「that」をあらためて見直すために、これらの基本的な使い方のおさらいから、「これ、あれ」にとどまらない使い方、さらにネイティブの会話に欠かせないフレーズまでを、幅広くご紹介しています。

「そういえば、こんな使い方もあったなあ!」と発見があるかもしれません。

是非ご一読ください。

thisとthatの使い方あれこれ

英語で「これ、あれ」を意味する「this / that」の使い方は、日本語と同じ感覚でOKです。

以下で基本の使い方を再確認してみましょう。

  • 自分の手元にあるものは「this」です。和訳は「これ」になります。
    I like this.(これが好きです。)
  • 相手の手元にあるものは「that」です。和訳は「それ」です。                                                                                    I like that.(それが好きです。)
  • 自分からも相手からも離れたところにあるものもまた「that」になります。和訳は「あれ」になります。      I like that.(あれが好きです。)
  • I like this better than that.(それ/あれより、これの方がいいです。)
  • This is easy. That is difficult.(これは簡単です。それ/あれは難しいです。)

指しているものが複数であれば「these」「those」となります。

  • I like these.(これらが好きです。)
  • I like those.(それら/あれらが好きです。)

「これら/あれら」の中の一つを選ぶときは、次のような言い方になります。

  • Can I have one of these / those?(これ/それを一ついただけますか?)

人に、手元にあるものを何かを見せて「こんな風に」ということがありますよね。

  • 自分の手元にあるものを示すときは「like this」といいます
  • 相手の手元にあるものを示すなら「like that」となります。

“Look, can you fold a paper like this?”(見てください。紙をこのように折れますか?)
“Yes, like that.”(そうです、そのように折ってください。)

  • 手元にあるもの、例えば自分のそばにある本に書いてあることに関して「どういう意味ですか?」と訊ねるときは、「What does this mean?」となります。
  • 手の届かないところにあるもの、例えば黒板に書いてあることや人の手元にある本に関して訊ねるときは「What does that mean?」となります。

「this / that」は、モノを指すだけではありません。

特定の時期を指すにも使えます。

「this December / this winter」のようにいうと、「この12月/この冬」を意味します。

  • They say it’s going to be cold this winter.(この冬は寒くなるらしい。)
  • this morning(今朝) I woke up late this morning.(今朝は寝坊しました。)
  • this week(今週) I’ve been lucky this week.(今週、私は運がいい。)
  • this month(今月) I have a short budget this month.(今月は予算が少ない。)
  • this year(今年) This year is close to end.(今年もまもなく終わりだ。)
  • this time(今回) I will make it this time.(今回は成功させます、やってみせます。)

さて、上記で挙げた例を「that」で言い換えてみるとどうでしょう。

全て過去の話に変わっています。

  • that morning(あの朝) I didn’t take a train that morning.(あの朝、電車には乗りませんでした。)
  • that week(あの週) I was sick that week.(あの週、私は体調がよくありませんでした。)
  • that month(あの月) It was very busy that month.(あの月はとても忙しかった。)
  • that year(あの年) I started to work in Tokyo that year.(私はあの年に東京で就職した。)
  • that time(あの時) I was not supposed to say that that time.(あの時私はああいうべきではなかった。)

文章の中で同じ言葉の繰り返しを避けるために「that」を使うこともあります。

  • The scent of this perfume is that of my mom’s.(この香水の香りは母のものと同じだった。)

この場合の「that」は、「香水の香り(scent of the perfume)」を指しています。

  • Her writing is that of Shakespeare.(この筆致はシェイクスピアのそれだ。)

この場合の「that」は、「筆致(writing)」を指しています。

「それほど、そんなに」といった使い方も出来ます。

  • I’m not that kind.(私はそれほど親切ではありません。)
  • The concert wasn’t that bad.(コンサートはそれほど悪くありませんでしたよ。)

電話で自分の名前を名乗るときは「This is ○○」といいます。

“Hello, this is Sakamoto. Is Tim in?”(もしもし? サカモトと申しますが、ティムさんはいらっしゃいますか?)

電話の相手が誰かを聞くときは「Who is this?(どなたですか?)」と訊きます。

ちなみに、ドアのノックに対して「誰ですか?」と訊くときは「Who is it?」となります。

人を紹介するときもまた「This is ○○」を使います。

“This is my husband, Andre.”(こちらが夫のアンドレです。)

these and thoseの使い方あれこれ

「this」「that」の複数形が「these」と「those」です。

  • What is this?(これは何ですか?)
  • What are these?(これらは何ですか?)
  • What is that?(あれは何ですか?)
  • What are those?(あれらは何ですか?)

“These are my belongings and those are yours.”(これらは私の持ち物です。そして、あれらがあなたのです。)

ここの「yours」は「belongings」を指しています。

英語では同じ言葉の繰り返しを嫌うため、「yours」で言い換えています。

「these days」というと「近頃、最近」という意味になります。

  • I watch a lot of old movies these days.(最近、古い映画にはまっています。)
  • It’s quite cold these days.(最近は結構寒い。)

「those days」「あの頃」です。

  • We were young those days.(あの頃、私たちは若かった。)
  • Mobile phone was not very popular those days.(あの頃、携帯電話はあまり普及していなかった。)

「Those people」「Those students」を文字通りに理解すると、「あれらの人々、あれらの生徒たち」という意味になりますね。

けれども、ニュアンスとしては、「あいつら」「あの生徒たちときたら」のように、軽蔑が込もった表現になってしまいます。

  • Those girls always make noise.(あの女の子たちはいつも騒がしい。)
  • Those drivers are very rough.(あのドライバーたちは運転が荒い。)

一方、「these」に関してはそのようなニュアンスは発生しません。

  • I like these people.(この人たちが好きです。)
  • These student are studying physics.(この生徒たちは物理を勉強しています。)

「Those who」とすると、特定の人々を指す表現を作り出します。

  • Those who left early couldn’t see the special guest.(早く帰った人々は特別ゲストに会えなかった。)
  • Those who want to join, sign up by Friday.(参加希望の人たちは、金曜日までに申し込んでください。)

this / thatを使ったフレーズ

これら2つの英単語の基本的な使い方をマスターしたら、this / thatを使ったフレーズを覚えてみましょう。

どれも使用頻度の高いものばかりです。

・That’s it / That’s all.(そういうことです。)

「そういうことです」→「話はこれで終わりです」→「なのでこれ以上どうしようもありません」という意味のフレーズです。

“I bought a whole cake. But I left it in the taxi. That’s it.”(ケーキを丸ごと買ったのです。ところがタクシーに置き忘れてしまったと、そういうわけです。)

・That will do.(それで十分です。)

“Do you have scissors?”(ハサミ持ってますか?)
“No, I only have a knife.”(いいえ、ナイフしかありません。)
“That will do.”(それでいいです。)

・This and that.(あれやこれや)

“I’m tired of hearing her say this and that!”(彼女があれやこれやいうのを聞くのは、もううんざりです。)
“I’m so busy preparing this and that for the event.”(イベントのために、あれやこれやを準備するのでとても忙しいのです。)

・Now that(~なので)

「ついに/いよいよ~なのだから」といったニュアンスで、理由を述べるときに使います。

“Now that you are 20 years old, you have to be responsible about yourself.”(あなたはついに二十歳になったのだから、自分に責任を持たなければなりませんよ。)
“Now that we are in the 21st century, we should live on a new value.”(21世紀なった今、私たちは新たな価値観を持って暮らしていくべきだ。)

  • this way(このように)
  • Do it this way.(このようにやってください。)
  • Come this way, please.(こちらへ来てください。)

まとめ

以上、英語の「基本単語“this”“that”に関するいろいろな使い方」をまとめてみました。

簡単でありながら、使い方には奥深さがあると再認識されたでしょうか。

英語では、シンプルと思われる単語こそ応用が多く、使い回しがたくさんあるものです。

そして、そのような単語こそネイティブ表現を目指すなら欠かせないものとなっています。

「this」と「that」の使い方をワンランク上げる機会になれば幸いです。

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。