ご存知の通り、英語の名詞には単数形と複数形があります。

それらは状況によって使い分けますが、中には常に複数形で使う名詞というのもあります。

常に複数形で使われる名詞を「plurale tantum」といいます。

ラテン語で「plural only」という意味で、日本語では「絶対複数」と呼ばれているものです。

身近なところでは、身に付けるモノに多く見られます。

例えば、「パンツ」「メガネ」「シューズ」などです。

この記事では、このようについうっかり間違いがちな「常に複数形で使う名詞」を30個ご紹介します。

 

pants / trousers

「パンツ」が常に複数形で使われるのは、足を入れる部分が両足分あるからです。

日本語の感覚ではなかなかピンと来ないものですが、英語だとこういう発想なのだと割り切るしかありません。

数えるときは「a pair of pants、2 pairs of pants 」のようにします。

  • I washed 2 pairs of chino pants.(チノパンツを2本洗った。)

jeans / shorts

「ジーンズ」「ショートパンツ」も、カタカナですでに複数形で呼んでいますので問題はないですね。

  • How many pairs of jeans do you need to buy?(ジーンズは何本買う必要がありますか?)

shoes

両足に履く靴類も常に複数形で使う名詞です。

「sneakers(スニーカー)」「boots(ブーツ)」「pumps(パンプス)」「high heels(ハイヒール)」「sandals(サンダル)」「loafers(ローファー)」「slippers(スリッパ)」など例外はありません。

  • Japanese use slippers indoors.(日本人は室内ではスリッパを使います。

「シューズ、ブーツ、パンプス」あたりは、カタカナでもすでに複数形になっているのでそのままで大丈夫ですね。

その他は、英語でいうときは「S」を付けて発音するのを忘れないようにしなければなりません。

靴の類も、数えるときはパンツと同じように「a pair of sneakers、2 pairs of slippers」のように数えます。

  • These are my favourite pairs of sneakers.(これらは私のお気に入りのスニーカーです。)

flop-flops

「パタパタという音」を表現する英語が「flip flop」ですが、「S」を付けて「flip- flops」とすると「ビーチサンダル」を意味する名詞になります。

  • Flip-flops are flexible and light-weight; easy to carry.(ビーチサンダルは柔らかいし軽量なので、持ち運びが簡単です。)

socks / stockings

靴下、ストッキングも靴と同じように両足分で一組ですので、やはり複数形で使います。

  • Kids hang their Christmas stockings every year.(子供たちは毎年、クリスマスに靴下を吊ります。)

scissors / shears

英語では、「ハサミ」は刃が2本でセットだと考えられるため、これも複数形で使われます。

  • I brought two pairs of scissors.(ハサミを2本持って来ました。)

「shears」は「ハサミの一種」です。

普通のハサミに対して、こちらはキッチンバサミや剪定バサミ、裁ちバサミなどを指して使われます。

  • Trim the trees with large shears.(大きなハサミで木々を剪定する。)

compasses

「コンパス」には方角を調べるものと、円を描くものの二種類がありますが、ここでは円を描くのに使う文房具のコンパスの方を指します。

コンパスには2本の「足」があると考えられるので、この単語も常に複数形で使われます。

ちなみに、英語では「足」ではなく「腕(arm)」と呼びます。

  • draw a circle using a pair of compasses.(コンパスを使って円を描く。)

これも数えるときは「a pair of ~、2 pairs of ~」のようにします。

clothes

  • clothes=洋服、衣類(単数形はなし)
  • cloths=布(単数形はcloth)
  • Wash your clothes.(服を洗濯しなさい。)
  • Your closet is full of clothes.(あなたのクローゼットは服で満杯ですね。)
  • Women’s clothes / Men’s clothes(婦人服/紳士服)

pajamas (pyjamas)

パジャマも常に複数形で呼びます。

数えるときは上下を1セットと考え、これも「a pair of」を使います。

  • a pair of pajamas(パジャマ1着)
  • These are my pajamas.(これは私のパジャマです。)

次のように上下別々で呼ぶときは形容詞的な使い方になるため、複数形にする必要はありません。

  • pajama top(パジャマの上着)
  • pajama trousers / bottoms(パジャマのパンツ)

ちなみに「つなぎ」ともいわれる「オーバーオール」もまた「overalls」と、複数形で使います。

  • I have 3 pairs of overalls.(オーバーオールを3着持っています。)

headphones / earphones

「ヘッドフォン」「イヤフォン」両耳分あるということで、これらも通例複数形で使われます。

  • Listen to the music using earphones.(イヤフォンで音楽を聴く。)
  • Sound is leaking from the headphones.(ヘッドフォンから音が漏れている。)

glasses / spectacles

「メガネ」も複数形で使う名詞ということで知られています。

サングラスも、もちろん「sunglasses」になります。

メガネというアイテムではなく、レンズの数がポイントというわけです。

数えるときは、やはり「a pair of」を使います。

  • I started to wear a pair of glasses since last year.(去年からメガネを使い始めました。)
  • These are the sunglasses I bought for my trip.(このサングラスは旅行用に買ったものです。)

binoculars

両目で見る「双眼鏡」も同様だということはもう分かりますね。

数え方もメガネと同様に「a pair of binoculars」です。

  • Take my binoculars for birdwatching.(バードウォッチングに双眼鏡を持って行く。)

species

生物などの「種」のことです。

『進化論』(Theory of Evolution)で有名なダーウィン(Darwin)の著作『種の起源』は英語で“On the Origin of Species”といいます。

  • Endangered species.(絶滅の危機に瀕した種。)

こちらの扱いは単数形です。

  • It’s a species of mammals.(それは哺乳類の一種です。)

mathematics / physics / economics / linguistics

「mathematics(数学)」はじめ、学問の名前には「physics(物理学)」「economics(経済学)」「linguistics(言語学)」など複数形の形になっているものがいくつもあります。

けれども、扱いはどれも単数です。

  • I take a economics class.(経済学の授業を取っています。)
  • This is a physics book.(これは物理の教科書です。)

「mathematics」の省略形は「mathsまたはmath」です。

ちなみに、「算数」に相当する「arithmetic」には「S」は付いていません。

  • Maths exams(数学のテスト)

politics

「政治学」という学問の一つであると同時に、「政治」という意味でもあります。

  • I’m reading a book about international politics.(国際政治に関する本を読んでいます。)
  • It’s not easy to understand the power balance in the world of politics.(政界の力関係を理解するのは容易ではない。)

headquarters

「本部」のことです。

「活動の中心地」を表す言葉ですので、必要に応じて「司令部」「本庁」「本社」などの和訳が当てはまります。

省略して「H.Q.」などと表記されることもあります。

  • Send this documents to the headquarters.(この書類を本部に送付する。)
  • Visitor from headquarters.(本部からの出張者)
  • The headquarters is located in Toronto.(本部はトロントにあります。)

means

「mean」は「意味する、~するつもりである」といった動詞として使うことが多いですが、複数名詞になると「方法、手段」という全く別の意味になります。

  • I’ll get it by any means necessary.(どんな手段を使っても、それを手に入れてみせます。)
  • There’s very limited means of transportation.(限られた交通手段しかありません。

measles

「はしか」のことです。

  • Outbreak of measles is not the past.(はしかの流行は過去の話ではありません。)

bowels

「腸」のことです。

大腸は「large bowels」、小腸は「small bowels」となります。

  • I have loose bowels.(お腹を壊しています。)

terms

「期間」という意味で使う「term」という単語にはいくつもの意味がありますが、「条件」という意味で使うときは複数形で使います。

  • Terms and conditions apply.(適用には条件あり。)

media

「マスコミ」と同義で使われる言葉「マスメディア(mass media)」の「メディア」です。

単数形は「medium」です。

単数扱いで使われることが多いです。

  • Social media connects people easily.(ソーシャルメディアは人々を簡単に繋げる。)
  • Media has large impact on society.(メディアは社会に大きなインパクトをもたらす。)

この単語は元々ラテン語のため、英語とは単数・複数のフォームが違っていますね。

ここから先に挙げる名詞はどれもラテン語なので、単数・複数形のフォームはどれも似ています。

bacteria

バクテリアの単数形は「bacterium」といいます。こちらは複数扱いです。

  • Some bacteria cause diseases.(バクテリアの中には病気を引き起こすものもあります。)
  • Bacteria reproduce rapidly.(バクテリアは急速に増えます。)

data

「データ」です。

単数形は「datum」といいます。

  • I have much data about this.(これに関するデータをたくさん持っています。)
  • These data are old.(これらのデータは古い。)

まとめ

以上、「基本的に複数形で使われる名詞」を30個ご紹介しました。

靴やメガネ、ハサミなど、「2つあるから」という理由がはっきりしていればまだ分かりやすいですが、その他の単語はややこしいですね。

これらはそのまま慣れて覚えるしかありません

英語に触れている間にこのような単語に出会ったとき、常に複数形で使われる単語があったなということを頭の隅に入れておくだけでも、戸惑うことがなくなるものです

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。