「乗客」も「顧客」も、日本語では「お客さま」のひと言で対応可能ですが、英語の場合、そう単純には行きません。
どのような場面における「お客さま」なのかで、単語を使い分ける必要があります。
使い間違えると、かなりおかしな状況になってしまうだけでなく意味も通じなくなってしまいますので、きちんと使い分け出来なければなりません。
そこで今回はお客様を表す様々な英単語とともに、どのようなときにどの英単語を使えば良いのかも合わせて説明していきます。
この機会に是非マスターしてしまいましょう!
もくじ
「visitor」と「guest」の違い
「visit」は「訪問する」という意味の単語です。
英語では「訪ねて来る人」は、まずは「visitor」ということが出来ます。
日本語でも「訪問客」といいます。
- I’ll have a visitor in the afternoon.(午後は来客がある予定です。)
- You have a visitor.(お客さまがいらしていますよ。)
集金やセールスなどで訪れた人のように、玄関先で用件を済ませられるような訪問者のイメージです。
出張で来た人(出張者)もまた「visitor」といいます。
「visitor」の中でも、もてなす必要がある人は「guest」になります。
「visitor=訪問者」、「guest=もてなすお客さま」と考えると分かりやすいでしょう。
英語では、迎えるお客さまは対応の仕方によって「visitor」と「guest」という単語を使い分けることになるわけです。
美術館や博物館など施設への訪問客は「visitor」といいますが、ディズニーランドの訪問客は「guest」と呼ばれていますよね。
施設を訪問してもらうだけでなく、おもてなしまでしようとする意思の表れです。
家の中に迎えてお茶を出すような訪問者は「guest」になりますし、ホテルのお客さまも「guest」です。
パーティやイベントの招待客も、おもてなしを受けるわけですから「guest」です。
「“invite(招待)”された人」ということで、「invitee」と呼ぶことも出来ます。
「参加者」というニュートラルな表現をするなら「“attend(参加、参列)”する人」=「attendee」という言葉もあります。
「employee(被雇用者)」という単語にも見られるように、「-ee」が付くと「行為を受ける側の人」を意味する言葉に変わります。
お店や会社に迎えるお客さま
お金と引き換えにモノやサービス受けるべく訪ねて来る人は「customer」と呼ばれます。
日本語でいうと「買い物客」や「顧客」です。
「顧客対応」を「customer service(カスタマーサービス)」といいますね。
同じ「顧客」といえども、会社などの「取引先、得意先」は「customer」ではなく「client」になります。
日本語でも最近は「クライアント」という言葉が広く使われています。
「client」にはさらに、「依頼人」といった意味もあります。
例えば、弁護士事務所、会計事務所、あるいは探偵事務所などで「依頼人」と呼ばれる顧客は「client」になります。
このような「専門職への依頼者」もまた「クライアント」なのです。
このように、英語ではひとくちに「客」といっても様々な単語を使い分ける必要があるのですが、「買う」という行為にもっとフォーカスした言い方をするなら「buyer(バイヤー)」という言葉もあります。
日本語では「買い手」です。
反対に、納品してくれる人「売り手」は「supplier(サプライヤー)」と呼びます。
また、「利用者」というニュアンスを強めた「user(ユーザー)」という単語もありますね。
乗り物客
飛行機、タクシー、バス、船など「乗り物に迎えるお客さま」は「passenger」です。
日本語だと「乗客、旅客」にあたります。
「passage(通行)」+人を表す「-er」という作りで、「通行する人、行き交う」という意味です。
- passenger list(乗客名簿)
運転席(driver’s seat)に対し、その他の座席は「passenger’s seat」となります。
「passenger」には運転する人は含まれません。
ちなみに、似たような言葉「通行人」は「passerby」です。
複数形は「passersby」となりますので、ちょっと注意が必要です。
「歩行者」は「pedestrian」といいます。
「pede-」には「足」という意味があります。
観光客・旅行客
観光・旅行目的で来ている人たちを表す英語には「tourist」があります。
日本語でも「ツーリスト」と使っているように、皆さんご存知の英単語です。
- Kyoto is one of the most popular tourist’s destinations.(京都は観光客に最も人気のある場所の一つです。)
- The city was swarming with tourists.(街は観光客でごった返していました。)
「swarm」とはミツバチ・昆虫などの「大群」のことですが、同時に「人の群れ、群集」を表現するときにも使えます。
ミツバチの群がる様子を想像すると、ごった返す様子が目に浮かびますよね。
その土地を「訪ねている人たち」であることから、「tourist」もまた「visitor」ということも出来ます。
けれど、「tourist」は旅行が主たる目的の人々「旅行者」を意味するのに対し、「visitor」は比較的短時間の訪問者で、特定の目的がはっきりしている人たちというニュアンスの違いがあります。
美術館や博物館を訪れる人を「visitor」とご説明しましたが、旅行スケジュールの一環で来ているニュアンスが強いなら、この場合も「tourist」と呼ぶことが出来ます。
- The newly opened museum was full of tourists.(新規オープンしたばかりのミュージアムは、観光客で一杯だった。)
「観光、見物(sightseeing)」に来ている人たちを「sightseer」と呼ぶ言い方もあります。
動詞「sightsee(観光、見物する)」+人を表す「-er」です。
観客・聴衆
コンサート、映画、劇場またはラジオにテレビなどの観客は「audience」といいます。
「視聴が目的の人々」と理解するとよいでしょう。
実際、カタカナ語で「オーディオ」という言葉があるように、「audi-」には「聴」の意味があります。
劇場や講堂などの「視聴する会場」は「auditorium」といいます。
「view(観る、視る)」を使った「viewer(視聴する人=視聴者)」という単語もあります。
- TV viewer(テレビ視聴者)
- sport viewer / sport watcher(スポーツ観戦者)
見物客
同じ観客でも、ショーやスポーツなどの観客・観衆は「spectator」という別の単語で呼びます。
沿道でマラソンを観戦する人たちなら「marathon spectator(マラソン観戦者)」と呼びます。
一方、ゴルフやテニスの試合会場に見られる大勢の観客たちはまとめて「gallery(ギャラリー)」といいますね。
ショーのような「見もの」は「spectacle」といいます。
日本語でも「スペクタクルショー」などとカタカナ語になっています。
そして、スペクタクルに値するような様子を表現するときは「spectacular」という言葉が使われます。
- It was such a spectacular!(それは本当に素晴らしい見ものでしたよ!)
まとめ
以上、「お客さま」に関する英単語をご紹介しました。
日本語なら一語で対応可能なのに、英語では厳密に意味の使い分けがあります。
すでにカタカナ語として、日本語でも日々使われている言葉もたくさんありましたので、英語でもすぐにマスター出来ると思います!
投稿者プロフィール
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2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。
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