海外に行った機会に、現地の美術館に足を運ぶ人は多いことでしょう。
日本ではなかなか見られない名画を生で見る絶好の機会です。
その際、海外で芸術を鑑賞するのに知っておくと便利な英単語やフレーズがあります。
美術には独特の用語があるため、英語で何というのかを事前に知っておけば、作品の説明が理解しやすくなるのです。
人と美術の話になったときにも、一般知識として役立ちます。
そこでこの記事では、「英語で美術に触れるときに知っておきたい言葉」と、「海外で美術館に行くときに使えるフレーズ」をご紹介しましょう。
もくじ
美術館・博物館に関する基礎英単語
英語で美術館や博物館というと、「ミュージアム(museum)」という言葉が浮かぶかもしれません。
「museum」とは、博物館、美術館、展示館、記念館などモノを収集し、保存、展示する施設をまとめた言葉です。
「美術館」は「art museum」や「museum of art」、美術館に比べ小規模な展示場は「(art) gallery」と呼びます。
「museum」は様々な展示施設を意味します。
主なミュージアムの種類を挙げてみましょう。
- photography museum / museum of photography(写真美術館)
- science museum(科学博物館)
- history museum(歴史博物館)
- war museum(戦争博物館)
- national museum(国立博物館)
- private museum(私立博物館)
ところが、日本語では「美術館」や「博物館」と呼ばれている施設でも、英語名で「museum」という単語が使われているとは限りません。
ニューヨークの「メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)」、日本の美術品が多数収蔵されていることでも知られるボストンの「ボストン美術館(The museum of Fine Arts, Boston)」とともにアメリカの3大美術館に数えられている「シカゴ美術館」の英語名は「The Art Institute of Chicago」といい、「museum」ではなく「institute」になっています。
また、アメリカのワシントンD.C.にある世界最大の博物館「スミソニアン博物館(The Smithsonian Institution)」もまた「museum」ではなく「institution」の単語が使われています。
さて、「exhibition / exhibit(展示)」には、いつでも見られる「permanent exhibition / permanent collection(常設展)」と、展示テーマや期限が定まっている「temporary exhibition(企画展)」があります。
「special exhibition(特別展)」というのもあります。
日本でも何度か開催されている「万国博覧会」は英語では「Universal Exposition」といいます。
ちなみに、日本の主たる公立美術館・博物館は、英語ではこのような呼称になっています。
- National Museum of Modern Art(国立近代博物館)
- National Museum of Western Art(国立西洋美術館)
- Tokyo Metropolitan Art Museum(東京都立美術館)
- Tokyo National Museum(東京国立博物館)
- National Museum of Nature and Science(国立科学博物館)
- National Museum of Japanese History(国立歴史民俗博物館)
海外で美術館に行くときに役立つプチ英語フレーズ
ここで、海外で美術館に行ったときスムーズに見学出来るよう、ちょっとした会話フレーズもご紹介しておきます。
入場料金は「admission / entrance fee」などといいます。
- Do you have any free or discount day?(入場料金が無料や割引になる日はありますか?)
- Can I buy the ticket online?(チケットはオンラインで購入出来ますか?)
施設によっては、音声ガイダンスやガイド付きツアーも提供されています。
英語のヒアリング練習の機会にもなるので、挑戦してみるのも一案です。
audio tour(音声ガイド)
- Do you offer an audio tour?(音声ガイドはありますか?)
- How much is the rental fee?(レンタル料金はいくらですか?)
guided tour(ガイド付きツアー)
- I’d like to join a guided tour.(ガイド付きツアーに参加したいのですが。)
- When and where does the tour start?(ツアーはどこで何時に始まりますか?)
アートを語る上で知っておきたい英単語
美術を鑑賞するとき、ある程度の用語を知っていると説明も分かりやすくなり、芸術への理解がさらに深まります。
美術分野でよく使われる言葉に「modern(モダン)」と「contemporary(コンテンポラリー)」というのがあります。
どちらにも「現代的な」という意味があるため、両者の違いは分かりにくいですが、美術用語ではきちんと使い分けがされています。
「modern art(モダンアート)」は「近代美術」、「contemporary art(コンテンポラリーアート)」は「現代美術」と訳されます。
具体的にどの年代を境界線とするかについてはいくつもの定義があり、明確には定まってはいないものの、おおむね19世紀末から20世紀半ばにかけてのアートをモダンアートと呼び、以降のものをコンテンポラリーと呼ぶというのが一般的な解釈となっています。
混乱されやすいこの2つの言葉の違いが分かると、美術品の説明がより納得しやすくなるでしょう。
その他にもアートを語る上で、よく出てくる単語をいくつか挙げます。
「オブジェ(objet)」は、日本語でも「モノ、物体」などを指して使われている言葉です。
日本語ではフランス語風に「オブジェ」と呼んでいますが、英語では「object」のことです。
「object」には他にも「対象、目的」といった意味があります。
また、「絵」という言葉は英語だともう少し詳しく分ける必要があります。
英語の場合、油絵などブラシを使って描いた絵は「painting」といいますが、鉛筆などで描いたものは「drawing」となります。
線描やデッサン、スケッチ、図画などは「drawing」です。
- watercolour / watercolour painting(水彩画)
- oil painting(油絵)
それらを描く人「画家」は「painter」です。
学校の図工や美術の時間に「クロッキー」や「デッサン」を習った経験があると思いますが、これらはそれぞれ「croquis」「dessin」というフランス語です。
英語では「drawing」や「sketch」などとなりますので、知っていないと通じない可能性もあります。
彫刻は「sculpture」といいます。
彫刻家は「sculptor」です。
- He is a self-taught sculptor.(彼は独学で学んだ彫刻家です。)
ジャンルを問わず、「作品」のことを「work / artwork」といいます。
中でも「素晴らしい作品、傑作」が「masterpiece」と呼ばれます。
そのような素晴らしい作品のことを表すのに「tour de force」という言葉もあります。
これはフランス語ですが、英語の中でも使われる言葉です。
- Exchange view on the work.(作品についての感想を述べ合う。)
- This is a real masterpiece of Impressionism.(これは正に印象派の傑作です。)
- It’s my first time to see the tour de force of Gauguin with my own eyes.(実際に自分の目でゴーギャンの名画を見るのは初めてです。)
美術館の目玉作品は見逃したくないですよね。
「絶対に見逃せない」を表すには「must-see」や「 must-watch」という言葉もあります。
- a must-see piece / artwork(見逃せない作品)
作品を「鑑賞する」というときは「appreciate」を使います。
普段は「I appreciate your understanding(ご理解感謝いたします)」などのように、「感謝する」という意味で使われることが多い単語ですが、芸術を「認識する、評価する=鑑賞する」という使い方も出来るのです。
- Do you know how to appreciate contemporary art?(現代美術の鑑賞方法が分かりますか=理解出来ますか?)
英語で表す有名絵画のスタイル
よく知られる絵画のスタイルについても少し触れてみましょう。
impressionism(印象派)
モネ(Monet)やルノワール(Renoir)など、印象派の絵画は日本で根強い人気がありますね。
cubism(キュビズム)
「cube(立体)」という単語から出来た「cubism」は、独得の視覚で表されたスタイルです。
日本語では「立体派」と呼ばれます。
fauvism(フォーヴィズム)
マチス(Matisse)に代表されるフォーヴィズムは、日本語では「野獣派」といわれます。
「fauve」とはフランス語で文字通り「野獣(wild beast)」の意味です。
Japonism(ジャポニズム)
19世紀後半から20世紀初めにかけ、浮世絵などの日本の美術がフランスをはじめとするヨーロッパの芸術に多大な影響を与えました。
日本語では「日本趣味」と呼ばれています。
ジャポニスムはフランス語表記(Japonisme)の発音で、ジャポニズムは英語の読み方です。
ちなみに、当初日本よりも海外で評価された浮世絵は、海外でもそのまま「Ukiyo-e」として知られています。
surrealism(シュールレアリズム)
ダリやピカソに代表されるシュールレアリズムは、日本語で「超現実主義」と訳されている通り、「realism(現実主義)」の上に付いている「sur」は、「スーパー、超」を意味する接頭語です。
英語で美術鑑賞について話し合う
人と感想を述べ合うことで、作品をより深く理解することが出来ます。
- Which art museum did you go most recently?(一番最近行ったのはどこの美術館ですか?)
- I don’t miss every exhibitions of ceramic art.(陶芸展はどれも欠かさず見に行きます。)
- I like visiting art museums / galleries by myself.(一人で美術館/ギャラリーを訪ねるのが好きです。)
- Who is your most favourite painter / artist?(あなたが最も好きな画家/アーチストは誰ですか?)
- Which work was your favourite?(あなたの気に入った作品はどれでしたか?)
- What is your recommendation?(おすすめはどれですか?)
こちらは、感じたことを伝える言葉の一例です。
- impressive(印象的である)
- overwhelmed(とても感動的、圧倒された)
- difficult(難解である)
- not understandable(理解不能)
- boring(退屈)
まとめ
以上が、英語で美術について語るとき、そして美術館に行く前に知っておきたい、キーワードとなる英単語やフレーズです。
日本語ならある程度知っている美術用語も、英語でとなると語彙が限られてしまうものです。
美術用語にはフランス語がとても多く、私たちが学校で習った用語も、英語ではなく実はフランス語だったりします。
そのため、せっかく言葉を知っていても英語では通じない可能性もあります。
英語で美術用語をおさらいしてみる価値は、そのようなところにもあるのです。
投稿者プロフィール
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2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。
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