イディオムの面白さは、文字通りの意味とは全く異なる意味を持つところです。

英語を使うとき、一つでもイディオムを滑り込ませることが出来ると、聞く人の耳に「ハッと」印象に残るものです

また、日常の「よくある状況」をうまく言い表したものが多いので、適切な状況で適したイディオムを繰り出すことが出来ると、間違いなく効果的に意図を伝えられる点もイディオムを身に付けるメリットです。

動物や食べ物、色など、様々な身近なモノがイディオムの材料になっています。

今回は、これだけは知っておきたい、数字を使った17個の英語イディオムをご紹介します。

1

one-horse town

「馬一頭だけの町」とは「ちっぽけな町」を意味するイディオムです。

面積も小さく、住む人も少ないため、交通は馬一頭でまかなえてしまうといった情景から生まれた表現です。

  • Ever since I can remember, I always wanted to get out of this one-horse town.(物心ついたときから、このちっぽけな町を出たいと思っていた。)

「ever since I can remember」または「as far back as I can remember」「物心ついたときから」と訳すことが出来ます。

1, 7 ,9 , 15

fifteen minutes of fame

「15分だけの名声」とは、その程度の短時間しか続かない「つかのまの有名人」「一時だけの名声」を意味しています。

この表現は、20世紀を代表するアメリカのポップアーティストであるアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)によって生み出されたイディオムです。

ちなみに、一曲だけが大ヒットしたものの、あいにく次が続かなかった「一発屋」「one-hit wonder」といいます。

この表現はミュージシャンに対して使われます。

  • He is one of the one-hit wonders.(彼も一発屋だったね。)

「seven days’ wonder」または「nine days’ wonder」は、一時話題になったものの、すぐに忘れられてしまった事柄を指します。

2

be in two minds

どちらの選択肢にしようか、なかなか決められずに迷っている状況ありますよね。

そんなときに使えるのがこちらです。

二つの気持ちの間で揺れ動き、「どちらにするか決めかねている」という意味です。

  • I’m in two minds about ○○.(○○について決めかねています。)
  • I was in two minds whether or not to accept the offer.(オファーを受けようか、受けまいか迷っています。)
  • The offers are both attractive. It’s natural to be in two minds.(どちらもいいオファーですからね、決めかねるのも当然です。

「魅力的」という意味の単語「attractive」は、「He / She is attractive(彼/彼女は魅力的だ)」のように、しばしば人の容姿などについて使われますが、それだけに留まりません。

「モチベーションが上がり、利益もある」というような「面白そうな仕事、取引」などを表現するときにも使えます。

  • An attractive job / deal.(魅力ある仕事/取引)

put two and two together

きちんと比較検討し、正しい結論を出すという意味のフレーズです。

  • By putting two and two together, we can reach the proper conclusion.(事実を付け合せてきちんと判断すれば、正しい結論に到達出来るでしょう。)
  • Just put two and two together, the answer must be there.(総合して判断すれば、答えは出るはずです。)

two peas in a pod

グリーンピースなどのサヤ「pod」といいます。

このフレーズの意味は「サヤの中の豆2つ」です。

英語で「瓜二つ」は、このような表現になります。

  • Two of your kids are like two peas on a pod.(あなたのお子さん、二人ともそっくりですね。)
  • My brother and I are like two peas in a pod. You will be surprised.(私と兄はそっくりなんです。きっとビックリしますよ。)

two wrongs don’t make a right

「他の人が悪いことをしているからといって、あなたまでそうしていいということにはなりません」を英語で表現すると、こうなります。

良くないこととは分かっていても、人がやっていると「つい自分も」なんて思ってしまう気持ちも分かります。

けれども、そのような「出来心」を「良くないことは良くない」と諌(いさ)めるのがこのイディオムです。

直訳すると「二つ不正をしても、一つの正にはならない」との意味です。

  • You cannot justify yourself that way. You would remember, two wrongs don’t make a right.(そんなことで自分を正当化することは出来ませんよ。「他の人がしているからといって、自分もやっていいことにはならない」といいますよね。)

stand on (one’s) own two feet

日本語でも、一人前になることを「一人立ちする」といいます。

英語でその表現にあたるのがこれです。

「自分の日本の足で立つ」とは、文字通り人の助けを必要とせず、「自力でやっていける」ことです。

  • My aim is to be able to stand on my own feet within a year.(一年で独立出来るようになることが私の目標です。)
  • I feel so free now that two of my sons stand on their own feet.(二人の息子がついに独立し、実に晴れ晴れした気分だ。)

two left feet

ダンスが苦手な人ならこのイディオムを覚えておくと、ダンスの誘いをお茶目にかわせそうです。

左右の足をうまく操れず、「まるで左足が二本あるようだ」といったところから、ダンスやサッカーなどで上手く立ち回れない様子を表すのに使えます。

  • You can’t ask me to dance. Actually, I have two left feet.(私をダンスに誘わないでください。まるで踊れないのです。)

4

on all fours

こちらも手足に関係しています。

「四つんばい」「on hands and knees(両手と両膝で)」という言い方をしますが、このようなフレーズもあるのです。

  • We all got down on all fours on the floor looking for a contact lens that she dropped.(彼女が落としたコンタクトレンズを探して、私たち全員、床を四つんばいになって探しました。)
  • My baby recently started getting up on all fours.(最近、我が家の赤ちゃんがハイハイを始めました。)

four-leaf clover

クローバーは三つ葉が普通ですが、稀にしかない4枚葉のクローバーを見つけられると、良いことがある印だといったりしますよね。

その言い伝え通り、これは「吉兆の印」を意味するフレーズです。

  • I’ve been so unfortunate these days. I’m desperate to find a four-leaf clover!(最近すごくツキがないから、何としても「幸運」を見つけたいのです!)
  • This news could be my four-leaf clover.(このニュースをキッカケに、何か良いことが起こるかも。)

四つの葉はそれぞれ、「 hope(希望)」、「faith(信頼)」、「love(愛情)」、「luck(幸福)」の意味を持つといわれています。

見付かる確立は1万分の1といわれていますので、見つけられたら確かに幸運といえるかもしれません。

5

Give me five

映画やドラマを見ていて、外国人同士が掲げた手をパチンとならして挨拶を交わしているシーンに見覚えがあると思います。

日本語では「ハイタッチ」と呼ばれていますよね。

実は英語では「ハイタッチ」ではなく、「high five」といいます。

ちなみに、胸腰の辺りなど低い位置で交わす場合は「low five」と呼びます。

その「high five」をしよう!と呼び掛けるときのフレーズが、「Give me five!」です。

もし「Slip me five」といわれたら、そこで求められているのは「握手」です。

take the fifth

「黙秘権」を意味するのがこのフレーズ。

法廷での黙秘権がアメリカの憲法修正第五条によって保障されていることから、「Take the fifth」「黙秘する」という意味として使われています。

  • I’ll take the fifth.(黙秘します。)
  • My boy decided to take the fifth.(息子は黙秘することを決め込んだ。)

7, 9

seventh heaven / cloud nine

ユダヤ教、イスラム教では、天国には7つの階層(seven levels)があるといわれています。

最も高い階層が神が居住する7つ目の層となっていることから、「第七天国=最高の福、至福」を意味します。

  • I feel like I’m in the seventh heaven!(最高の気分です!)

そして「on the cloud nine」というのもまた「最高に幸せ」な状況を表すイディオムです。

  • I’ve got all I wanted. I’m on the cloud nine.(欲しかったものが全て手に入った。最高の気分だ。)

9

dressed to the nines

なぜ「9(nine)」なのか、その語源ははっきりしないようですが、「to the nines」「カンペキに」という意味があります。

「dressed to the nines」は、「しっかりとめかしこんだ」という意味のフレーズです。

「dressed up to the nines」といってもOKです。

  • Where are you going, dressed up to the nines?(そんなにお洒落して、どこへ行くのですか?)
  • I’m dressed to the nines and ready to go anytime, anywhere.(しっかりめかしこんだので、いつでも、どこへでも出掛けられますよ。)

nine times out of ten

日本語でも「十中八九」というフレーズがありますが、英語では「10回の内9回」という表現になっています。

つまり、「いつも、ほとんど毎回」です。

  • Be my guest today. You pay for my drink nine times out of ten.(今日は私におごらせてください。いつもはほとんど、あなたにおごってもらっているのですから。)
  • Nine times out of ten, her answer is NO.(大抵いつも彼女の答えはNOです。)

nine to five(9 to 5)

アメリカの女優、ジェーン・フォンダ(Jane Fonda)主演、1980年のコメディ映画で「9 to 5」(邦題:『9時から5時まで』)というのがありました。

そのタイトルが示す通り、数字の「9」と「5」は、一般的な営業時間である朝9時から午後5時までの時間を表しています。

  • I’m working nine to five every day.(毎日9時5時で働いています。)

「典型的」な就業時間のイメージから、「面白みのない仕事」を示唆したり、時間通りに帰宅出来る公務員や上級役員などを揶揄した使い方がされることもあります。

  • I just continue my nine-to-five job.(今やっている、お決まりの仕事を続けるだけさ。)

「nine-to-five attitude」といえば、「定時出勤し定時であがる勤務姿勢」を意味します。

つまり、「決められた以上に働いたり、努力をしたりするつもりがない勤務態度」のことです。

  • a staff with a nine-to five attitude.(決められたこと以上は、やる気のないスタッフ)

11

at the eleventh hour

「11番目の時間」とは、一体どんな意味でしょう?

このフレーズは「ギリギリで」という意味です。

  • I got it at the eleventh hour.(最後の最後で手に入れた。)
  • I made up my mind at the eleventh hour.(最後の最後で決心を固めました。)

まとめ

以上が、数字をつかった英語のイディオム17選です。

日本語と英語、まったく違う言語ながら、同じような発想のイディオムも見当たります。

文化が違っても、人の考えるところは同じだったりするのですね。

日本語にも数字を使ったことわざはとてもたくさんあります。

この機会に見比べてみるのも楽しいかもしれません

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。