誘いを受けたときや、頼まれごとをしたとき、本当は断わりたいのにうまい言葉がみつからず、本心に反して了解してしまい、後悔したことは誰しも一度や二度あるのではないでしょうか?

相手の気を悪くせずに上手に断わるということは、誰にとっても簡単なことではありません。

日本語でもそうですから、英語ならなおさらです。

どんな表現が可能なのか知っておけば、状況をスマートに凌(しの)ぐことは可能です

ハッキリ断わるべき場面もありますが、ときには遠回しに断わりたいときもありますよね。

今回は、せっかく頂いたお誘いを「丸く」断わるための表現を集めてご紹介します。

英語で表す「お断わり」

「断わる」という意味を持つ単語には次のようなものがあります。

辞書で「断わる」を探したら、まず挙がって来るのがこれらです。

refuse(お断り、辞退する)

ハッキリ、毅然とした断わりを示す言葉です。

「I refuse ○○(○○を断わった)」「I was refused(断わられた) 」というとかなり強い印象を受けます。

  • I was refused to enter the room.(部屋に入るのを断わられた。)
  • She refused to see me.(彼女は私に会うのを拒んだ。)

「拒否、拒絶、辞退」を示す名詞形は「refusal」です。

  • My refusal was accepted.(私の辞退は受け入れられた。)

反対語は「accept(受け入れる)」です。

reject(拒否、拒絶する)

「refuse」よりもさらに強い拒絶となり、さらには「退ける、捨てる」といったニュアンスさえあります。

  • My proposal was totally rejected.(私の提案は完全に却下された。)

ちなみに、不良品としてハネられた「不合格品」「reject」といいます。

失礼にならずに断わろうとするなら、「refuse」や「reject」のような直接的な単語を使うことはまずありません。

やんわり、丁寧に、遠回しに断わるにはそれなりのフレーズがあります。

  • There is a wrong way / right way to decline.(適切な/不適切な断わり方というものがあるものです。)

decline(断わる)

同じ「断り」でも丁寧なニュアンスのある表現です。

「下を向く、衰退する」という意味もあることから、穏やかな印象の断わりになります。

  • I’d like to decline the proposal politely yet clearly.(いただいた提案を丁寧かつ明瞭に辞退したい。)

turn ○○ downという表現も

「turn down the volume」といったら「ボリュームを落とす」という意味になりますが、この表現には、「断わる」という意味もあるのです。

  • Can I turn down this invitation?(この招待をお断りしてもいいでしょうか?)

土壇場でキャンセルする「ドタキャン」は、英語で「cancel at the last minute」と表現します。

  • It is rude to cancel at the last minute.(ドタキャンは失礼です。)
  • Unless you have a proper reason.(何かしら、ちゃんとした理由がない限り。)
  • I want to know how to turn people down politely.(礼儀正しくお断りする方法を知りたい。)

断わりのセリフ

断わるのを躊躇するのは、断わったら「失礼な人」と思われるのではないかと気になるからです。

失礼は「rude」、その反対が「polite(丁寧な、礼儀正しい)」です。

  • I don’t want to be rude.(失礼なことをしたくない。)
  • I don’t want people to think I’m rude.(失礼な人だと思われたくない。)

せっかくの誘いを断わるので、「I’m sorry」「I’m afraid」など、すみませんという謝罪のフレーズを添えます。

このフレーズだけで、相手は「断わりの返事なのだな」ということも分かります。

なぜ断わることになったのかを理由も伝えましょう。

どのような表現があるかについて、次の項で詳しく触れます。

「I don’t think I can make it」は日本語にすると「出来そうもない」です。

「I can’t make it」だと「出来ません」ですが、「I don’t think(~出来るとは思えない)」を付けることによって柔らかい言い方になっています。

  • I’m sorry, I don’t think I can make it.

「出来るか分からない」といった曖昧な答え方もあります。

  • I don’t know if I can do that.
  • I’m not sure if I can make it.

「I don’t think so」「そうは思いません」という意味ですが、誘いに対してこの返事をすると、遠回しな断わりになります。

「My mother wants to meet you. Can you make it next week?」(母があなたに会いたいといっているのですが、来週どうですか?)
「Sorry, I don’t think so.」(あいにく、難しいと思います。)

「了承したいのは山々なのですが」といいたいときもあります。

「I’d love to but ~」がそれにあたる表現です。

  • I’d love to accept your offer but ~.(オファーを引き受けたいのは山々なのですが~。)
  • I’d love to but I think I’ll pass this time.(是非といいたいところですが、今回は止めておきます。)

どんなに丁寧な表現を選んでも、言い方に温かみがこもっていなかったら気持ちは伝わりません。

丁寧な言葉を使うのは大事ですが、笑顔を添えるなど、言葉に気持ちを込めることを忘れないようにしたいものです。

断わる理由

断わるにしても「NO」だけで返答するわけには行きません。

何らかの理由を添えるのが誠意というものです。

とはいえ、だらだら説明しては言い訳がましく、かえって不誠実な印象になってしまうのでシンプルで納得の行く説明をしましょう。

あいにく

「unfortunately(あいにく)」を使えば、自分としては構わないが、状況的に断わらざるを得ないというニュアンスを作り出すことが出来ます。

  • Unfortunately, I already have another appointment on that day.(あいにくですが、その日はもう別の予定が入っているのです。)
  • Unfortunately, I’ll have a visitor today.(あいにく、今日は来客の予定があるのです。)

いいにくい理由の場合は、「something has come up(ちょっといろいろあって)」というのも便利な表現です。

こういわれた方も、それ以上突っ込んで訊いてくることはないでしょう。

  • I’m sorry. Something has come up.(すみません、ちょっといろいろ起きて。)

忙しい

「忙しい」というのは、何かを断わるときの常套句です。

「I’m busy(忙しい)」といわれれば相手も無理強いしにくいものです。

  • I’m sorry, I’m so busy these days.(すみません、近頃すごく忙しくて。)
  • I’m so sorry but my schedule is really full.(本当に悪いんですけど、スケジュールが目一杯入っていて。)

もっと早く言ってくれたら

「もっと早く言ってくれたらよかったのに」というシチュエーションもあります。

「I wish you could have asked me earlier」と表現します。

  • I could have come if you had asked me last week.(先週の内に言ってくれてたら、行けたのに。)

「earlier」「early(早く)」の比較級で「もっと早く」という意味です。

  • I hope the date was fixed earlier.(もっと早く日にちが決まっていればよかったのに。)
  • I hope I knew earlier.(もっと早く知っていればよかったのに。)

「I wish I could ~」だと「~出来たらよかったのですが」という意味になり、残念がる気持ちを出しながらやんわりと断われる便利なフレーズです。

  • I wish I could help you.(お手伝い出来たらよかったのですが。)

次回へ繋ぐ

本当は断わりたくなかったのに断わらざるを得なかったのなら、次回へ繋ぐ言葉を伝えておくようにします。

  • Can you invite me again / next time?(また/次回誘ってもらえますか?)

あるいは、「○日なら空いていますが」など、代替案を示すのも積極姿勢が伝わります。

  • I won’t be available that week but after that week is OK.(その週はダメですが、そのあとの週ならOKです。)
  • What about next Tuesday?(次の火曜日はどうですか?)

そして、せっかく誘ってくれたことへの「Thank you(ありがとう)」も忘れずに伝えるようにしましょう。

  • Thank you for the invitation.(ご招待ありがとう。)

まとめ

相手の気を悪くさせずに断わるのは何かと気を使うものです。

出来ればそのような状況は避けたいですが、不本意なことを無理して引き受けるには限界があります。

そのために注目されるのが、自分に無理を強いることなく、かつ相手の気分も害さない「上手に断わるテクニック」です。

英語と日本語、使う言葉は違っても、不本意な誘いを断わる気遣いの方法は同じです。

上手な人間関係を維持するために、スマートな断わり方は是非身に付けておきたいものです。

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。