英語を学び始めたとき、身近な動物の名前は一通り覚えたことでしょう。

英語で動物なんて、今さらと思ったりもするのでは?

ところが、ひところニュースを賑わせた「鳥インフルエンザ」「豚インフルエンザ」「bird」や「pig」という単語が出てきた記憶はありますか?

実は英語の世界では、動物に関する言葉にはとても奥が深いものがあるのです。

この記事では、学校では決して習わない動物の意外な英語表現を十二支などを例にご紹介します。

是非、新たな英語の世界を垣間見てください。

我々の知らない動物の意外な英語名

時折、流行する動物のインフルエンザがありますね。

英語で、鳥インフルエンザは、「avian influenza」豚インフルエンザ「swine influenza」といいます。

鳥インフルエンザは分かりやすく「bird flu」と呼ばれることもあります。

「flu」とはinfluenzaの略です。

「avian」というのは「鳥」のことです。

飛行士を「aviator」といったり、飛行や航空に関する意味を持つ「aviation」などといった言葉もありますが、どれも空を飛ぶ「鳥」が語源になっていることに納得出来ます。

そして豚は「pig」ではなく「swine」です。

もちろん、これも「豚」のことです。

動物園のことを「zoo」といいますが、これは「zoological garden」を略したものです。

「zoo」とはギリシャ語源で「動物」の意味です。

そして、「鳥・豚インフルエンザ」のように、人間にもうつる可能性のある動物の病気は、「zoonotic disease / zoonosis」といいます。

ところで、以前、「狂牛病」が世界中で話題になり、人々の恐怖をあおったことをご存知ですか?

「狂牛病」は、英語では分かりやすく「mad cow」と呼ばれていました。

文字通り「狂牛」です。

正しい病名は「Bovine Spongiform Encephalopathy」、頭文字を取って通称「BSE」です。

日本の新聞・ニュースでももっぱら「狂牛病」ではなく「BSE」と表記されていました。

「Bovine」とは「牛(仲間を含む)」のことです。

私たちが知っている牛は「cow」ではありませんでしたか?

けれどもこのような呼び名もあるのです。

まだ他にも、私たちがよく知っている動物の英単語とは違った名前があります。

1960年代の終わりから1970年代の初めにかけて人気を博した「猿の惑星」というアメリカの映画シリーズがありました。

このオリジナルのタイトルは「Planet of the Apes」です。

「monkey(猿)」ではありません。

「ape」もまた「猿(仲間を含む)」のことです。

「ヘビ」には「serpent」という呼び方もありますし、「equine」とは「馬」のことです。

「犬」を意味する「canine」の言葉を知っていれば、「犬歯」「canine」と呼ばれることに納得するのではないでしょうか。

何て複雑!英語でいう動物の名前

英語では動物の名前が、「オス・メス」「大人・子供」「経産・未経産」「去勢されている・されていない」などによって全く異なることがあります。

例えば、ひよこ「chick」ですが、メンドリ「hen」オンドリ「roosterまたはcook」と呼ばれます。

ウシも、子牛は「calf」、出産経験のあるウシは「cow」、未経産のウシは「heifer」、去勢していないウシが「bull」、去勢済みのものはが「oxまたはsteer」といった具合に、細かく分かれているのです。

草食動物、肉食動物って英語でいえますか?

「草食動物」は英語で「herbivore」といいます。

「herb(草)」という言葉を考えると覚えやすいと思います。

「肉食動物」「carnivore」です。

これも「carne(肉)」という単語からきています。

ちなみに、「carnival(謝肉祭)」や、アメリカ料理「chili con carne(チリコンカーン)」などの言葉も、「carne(肉)」という言葉からきているのです

肉も草もOKの「雑食動物」「omnivore」といいます。

英語で「十二支」

2017年の今年は酉年です。

大抵の日本人は毎年、その年が何の干支(えと)なのかを知っているでしょう。

少なくともお正月前後は、その年の干支にちなんだものを目にしているはずです。

実は、この中国由来のシステムは英語の世界でも意外と知られており、年の変わり目には「It’s the year of the ○ next year(来年は ○年ですね)」といった話題を聞くことが出来ます。

星座を「western zodiac」というのに対応し、十二支「Chinese zodiac」と呼ばれています。

各年を象徴するシンボル(動物)は「signs」と呼ばれます。

  • Chinese zodiac has the twelve zodiac signs.(十二支は12のシンボルからなっています。)
  • What is my Chinese zodiac sign?(私の干支は何ですか?)
  • What is the Chinese zodiac sign for the next year? (来年の干支は何ですか?)

ご存知の通り、十二支の始まりは「sign of the Rat(子年)」です。

英語で表す十二支は次のようになります。

  • Rat(子・ね)
  • Ox(丑・うし)
  • Tiger(寅・とら)
  • Rabbit / Hare(卯・う)
  • Dragon(辰・たつ)
  • Snake(巳・み)
  • Horse(午・うま)
  • Sheep(未・ひつじ)
  • Monkey(申・さる)
  • Rooster / Cook(酉・とり)
  • Dog(戌・いぬ)
  • Pig / Boar(亥・い)

「卯」「酉」「亥」には、二種類の単語があてられています。

これは、漢字で表された動物を意味する英語が複数あるため、複数の英訳が可能だったためです。

けれども一般に「酉」「cook」よりも「rooster」の方が一般的ですし、「亥」は日本の「イノシシ」を指すなら「boar」、中国風に「ブタ」を指すなら「pig」が使われます。

まさかの世界?動物の数え方

「○本」「○束」「○冊」など、日本語はモノによって数え方の単位が異なるので大変ですね!

普段あまり使わないような「変わったモノの数え方」がクイズになったりもしています。

日本語を学ぶ外国人はさぞ大変だろうなあと思うことありませんか?

けれど、英語にもモノによる数え方の違いはあります。

中でも動物の数え方は、びっくりするくらいたくさんあります。

動物を数える単位としては、日本語では「一匹」「一羽」「一頭」などがありますが、英語の種類は桁違いです!

まず、同じ生き物でも「状態」によって数え方が変わるものがあります。

例えば「duck(カモ)」ならば、飛んでいる状態は「flock」、地面にいる状態は「brace」、水上にいる状態では「raft」「paddling」と数えます。

「raft」筏(いかだ)「paddling」水かきをしているという意味です。

Hawks(タカ)は普段は「cast」でも、飛んでいれば「kettle」、輪を描いているときなら「boil」といった具合です。

「kettle」やかんですし、「boil」「茹でる」です。

とはいえ、よく見かける基本的なものは、「a school / shoal of ○○(魚など)」

獲った魚ならば「a catch of ○○」

「a herd of ○○(ウシなど)」

「a pack of ○○(オオカミなど)」

「a flock of ○○(羊、ヤギなど)」

「a colony of ○○(蜂など)」

「an army of ○○(アリなど)」

などといったところです。

その他は、「a group of ○○(○○の群れ・グループ)」を使えば問題はないでしょう。

dinosaur(恐竜)が、草食の恐竜は「herd」、肉食が「pack」で分かれているのも面白いところです

生き物の数え方が面白そうなものをいくつか挙げてみます。

  • Bacteria(バクテリア)​culture(カルチャー)​​a culture of bacteria.
  • Bear(クマ)​​sleuth(探偵) / sloth(怠惰)​a sleuth / sloth of bears.
  • Clam / Oyster(ハマグリ/カキ)​bed(ベッド)​​a bed of clams /oysters.
  • Cobra​​​quiver(振るえる、揺れる)​a quiver of cobras.
  • Cockroaches(ゴキブリ)​intrusion(進入、占有)​​an intrusion of cockroaches.
  • Crows(カラス) ​Murder(殺人者)​​​a murder of crows.
  • Crow(カラス)​​murder(殺人者)​​​a murder of crows.
  • Elk(ヘラジカ)​​gang(ギャング)​​​a gang of elks.
  • Emu(エミュー)​mob(暴徒)​​​a mob of emus.
  • Ferret / Flies(フェレット/ハエ)​business(ビジネス)​a business of ferrets / flies.
  • Giraffes(キリン)​Tower(タワー・塔)​​a tower of giraffes.
  • Gorilla / Coyote(ゴリラ/コヨーテ)band(バンド)​​a band of gorillas.
  • Lemur(キツネザル)​conspiracy(陰謀)​​​a conspiracy of lemurs.
  • Lion(ライオン)​pride(プライド・誇り)​​a pride of lions.
  • Mole(モグラ)​​labour(労働)​​​a labour of moles.
  • Parrot(オウム)​company(カンパニー)​​a company of parrots.
  • Rabbit(ウサギ)​nest(巣)​​​a nest of rabbits.
  • Squirrel(リス)​​dray(荷車)​​​a dray of squirrels.
  • Toad(ヒキガエル)​knot(結び目)​​​a knot of toads.
  • camel(ラクダ)​caravan(キャラバン)​​a caravan of camels.
  • swan(白鳥) ​​lamentation(嘆き) ​​a lamentation of swans.

どうでしょう、まさに言い当てたような納得の表現もありませんか?

猫には「pounce(飛びかかる)、nuisance(迷惑)」などが使われる中、子猫は「kindle、intrigue(好奇心)」、野良猫なら「destruction(破壊)」なんて単語だったりします。

犬好きのために犬についても付け足すと、一般的には「kennel(犬小屋)」ですが、野良犬なら「cowardice(臆病)」、猟犬は「cry(叫ぶ)」、子犬は「litter(散らかす)」となります。

まとめ

以上が、学校などでは教えてもらえない動物の意外な英語表現です。

何だって英語にはこんなに様々な動物の呼び方があるのだろうと驚きませんか?

いろいろな価値観に触れることが出来るのも、外国語を学ぶ楽しさの一つです。

今度動物の話になったら、ここで覚えた数え方などを使ってみてはいかがですか?

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。