相手を気遣って「もしよければ」というとき、英語ではどんな表現が出来るでしょう?

英語にも様々な「相手の意向を尊重する」表現があります。

その一方で、日本語と英語では感覚的な違いもあります。

そこでこの記事では、様々な英語で表す「もしよければ」の表現方法をご紹介します。

英語で表す様々な「もしよければ」

お気に召すなら

人に食べ物をすすめるときや、モノを差し上げるときなど「もしよかったらどうぞ」という場面があります。

このようなニュアンスを英語で表すなら、「if you please」という表現はいかがでしょう?

  • Please take some if you please.(もしよければお取りください。)

丁寧な表現のときに使う「please(どうぞ)」には、「喜ばせる」「都合に合う」といった意味もあります。

  • whenever you please(いつでも好きなときに)
  • You can call me whenever you please.(いつでも電話してくれていいですよ。)

例えば、相手にとって馴染みがなさそうな食べ物があったとしたら「Please eat(食べてください)」だけでなく、「もしよければ」といったニュアンスを添えたいところです。

そんなとき、他に「if you like(もしよければ)」という表現も出来ます。

「would」を入れた「if you would like(if you’d like)」だと、より丁寧な響きになります。

  • Please help yourself, if you like / you’d like.(よかったら食べてください。)

「if you feel like(気が向くなら)」「if you are interested(もし興味があれば)」といった言い方も出来ます。

  • Try this, if you feel like.(気が向くようなら試してみてください。)
  • Please eat, if you are interested.(興味があったら食べてみてください。)

「Why don’t we ○○?」という言い方も、「もしよかったら○○しませんか?」の表現として使えます。

  • Why don’t we join them now?(今からあそこに参加しませんか?)
  • Why don’t you come to my house?(ウチに来ませんか?)

「Why don’t we ○○?」は、直訳すると「私たちはなぜ○○しないの?私たちが○○しないのはなぜ?」となりますが、要するに「一緒に○○しませんか」という意味になる逆接的な表現です。

これは、人に何かをしようと誘うときによく使う表現ですので、覚えておくと役立ちます。

ただし、カジュアルな表現ですので、使うのは仲間内にとどめるのがよいでしょう。

差し支えなければ

「if you don’t mind」は、人から何か許可を得るときに「差し支えなければ」と訊くのと同じような感覚で使えます。

  • Can I open the window if you don’t mind?(差し支えなければ、窓を開けてもいいですか?)
  • Can I ask your name if you don’t mind?(差し支えなければ、お名前を訊いてもいいですか?)

お手間でなければ

「お手間でなければ」といったニュアンスを出すなら、「bother(煩わせる)」を使って「if it doesn’t bother you」とすることも出来るでしょう。

  • Can you come and help me fixing the shelf if it doesn’t bother you?(お手間でなければ、こちらに来て棚を直すのを手伝ってくれませんか?)
  • Can I come tomorrow if it doesn’t bother you?(お手間でなければ、明日お邪魔してもいいですか?)

もし出来れば

「I’d appreciate if you could ○○(○○していただけたら、有り難いです)」といった控えめな依頼表現も結局、「もしよければ/出来れば」と同じような働きになっています。

  • I’d appreciate if you could come today.(もし今日来てもらえるなら有り難いです=もしよければ今日来てください。)

「if possible(もし出来れば、可能ならば)」というフレーズも、よく使う機会があります。

  • Could you postpone our meeting if possible?(もし出来れば、ミーティングを延期していただけますか?)
  • Can you cut this into half, if possible?(もし出来れば、これを半分に切ってもらえますか?)

もし都合がよければ

「もし都合がよければ 」といったニュアンスで訊ねたいときは「available」を使った表現があります。

「if you are available」「あなたの都合がよければ」です。

  • Let’s make it on Monday, if you are available.(あなたの都合がよければ、月曜にしましょう。)

「もし時間があるなら」ということも出来ます。

  • Can you help me proofing this document, if you have time?(もし時間があるなら、この書類のチェックを手伝ってもらえますか?)

もしOKなら

「もしOKなら」という意味の「if it is OK with you」は、幅広いシチュエーションで使える「もしよければ」の表現です。

  • I’m going to invite her if it’s ok with you.(あなたがよければ、彼女を招待しようと思います。)
  • I’d like to come to you from now if it’s ok with you.(もしよければ、今からそちらに行きたいのですが。)
  • Can you borrow me this book if it’s ok with you?(もしよければ、この本を貸してもらえませんか?)

日本語にとらわれない表現

「How about ○○?(○○はいかがですか?)」というのもまた、控えめに相手の意向を伺っている表現です。

次の質問には「もしよければ」にあたる部分がありませんが、同じようなニュアンスを伝えられていると思いませんか?

  • How about another glass of wine?(ワインをもう一杯いかがですか?)
  • How about asking her idea?(彼女の考えを訊いてみるというのはどうでしょう?)

「『もしよければ 』メールください、電話ください」などは、よくありがちなセリフです。

日本語では違和感のない表現ですが、英語ではこの場合「もしよければ」は必要でしょうか?

このセリフのポイントは、相手からのメールや電話を受け入れる意図があると伝えることです。

いわれた相手は、メールしたいと思えばするでしょうし、電話したいと思えばかけてくるでしょう。

日本語風に相手を慮(おもんぱか)ると、「もしよければ(if you likeなど)」を入れたくなってしまいます。

しかし、自然な英語では「Please mail me / call me(メール/電話してください)」だけで十分です。

もし、相手を思うニュアンスを強調したいなら、「anytime(いつでも)」などを添えることもできます。

  • Please mail me.(メールしてください。)
  • Please call me any time.(いつでも電話してください。)

もし、人から「いつでも私に電話していいですよ(You can call me anytime)」といわれたら、日本人感覚では違和感を感じます。

「Do you want to ○○?(あなたは○○したいですか?)」という訊き方も、和訳だと、ぶしつけな印象がありますが英語ではこのような訊き方も普通です。

  • Want to go lunch after the meeting?(ミーティングのあとランチしませんか?)

日本語では相手の意向を尊重して「もしよければ」をよく使いますが、英語の場合、日本語と同じ感覚で「もしよければ」を使っていると、遠慮が過ぎてしまいます。

「○○したいですか?」あるいは「○○するのはいかがですか?」と訊くだけで相手の意向を訊き、判断を委ねていることになるため、すでに「もしよければ」のニュアンスが入っていると考えることが出来ます。

日本語の細やかな「もしよければ」の気遣い、英語でも同じ表し方が適切とは限りません。

外国語を学ぶ場合、日本語とは違うその言語ならではの表現方法を意識しておくのも大事なことです。

まとめ

「もしよければ」相手に判断を委ねる訊き方です。

日本語の「もしよければ」を伝えるには、英語ではニュアンス別に様々な言い方があることが分かります。

言葉を探すとき、日本語の表現をそのまま英訳するにはどうすべきかと考えるより、「この状況に則した表現は何だろう」と考える方が、「自然な英語」への近道といえるかもしれません。

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。