SNSの世界では様々な省略語が飛び交っています。

日々、新しい省略語が作られていく上、それらはときに突飛なため、分からなくても分からないで済んでしまいます。

けれども、担当する業務の用語をある程度知っておく必要があるように、ビジネスの場で使われる省略語は、ビジネスの基礎知識としてある程度知っておく必要があります

この記事では、数ある省略英語の中から「ビジネスの現場で使われる必須省略語」20個厳選してご紹介していきます。

是非この記事を読んでビジネスに必要な最低限の省略語は覚えてしまいましょう。

省略語の種類

省略語のことをabbreviation といいます。

attention(アテンション、○○様宛て)をattn.のように短くしたもののことです。

 

もう一つ、言葉の省略する方法としてacronymというものがあります。

日本語で「頭字語」と呼ばれるこちらは、単語のイニシャル(頭文字)を取ったものです。

例えば、UAEといえばUnited Arab Emirates、アラブ首長国連邦のことですね。

 

同じ「省略語」でも、abbreviationとacronymの違い、お分かりいただけたでしょうか。

見知らぬ省略語に出会ったら

話をしたり書類を見ているうちに、何の略語なのか分からない表示に出会うことがあるでしょう

アルファベットの羅列に過ぎない略語のままでは覚えにくくても、その意味を知ると記憶しやすくなるものです。

そういうときは、「What does this stand for?(これは、何を意味しているのですか?)」の決まり文句を使って訊ねてみましょう。

  • What does UNHCR stand for?(UNHCRとは何の意味ですか?)
  • It stands for United Nations High Commissioner for Refugees.(United Nations High Commissioner for Refugees(国連難民高等弁務官事務所)という意味です。)

UNHCRとは国連の一機関として1950年の設立以来、難民問題に取り組んできた組織です。

日本では、20世紀の最後の10年間、日本人の緒方貞子さんが第8代目の難民高等弁務官(High Commissioner)を務めたことでも知られています。

 

ちなみに、stand forは上記のように、○○を意味する/象徴するという意味の他にも、「○○のために立ち上がる/支持する」、「耐える」などの意味があります。

こちらの英語例文も合わせてご紹介しておきます。

  • I stand up for the environment protection.(環境保護のために立ち上がります。)
  • I will not stand for the irresponsible consumption of energy.(資源の使い方に関して無責任でいることには耐えられません。)

ビジネス英語で頻出の省略語

省略語の意味を訊ねる方法が分かったところで、次は知っておきたい省略語の例を20個挙げていきましょう。

文書でよく見られる省略英語

ビジネス上で交わされるSNSメッセージでもたくさんの省略語が使われますが、文章の場合、SNSメッセージに比べて固い表現が求められるため、使われる省略語の種類は常識的な範囲に限られてきます

中でもよく使われる文書向けの省略英語を、以下にご紹介していきます。

a/c(account/アカウント)

銀行口座(bank account)であれば、bank a/cという表記になります。

また、bank(銀行)自体もbkと略すことが出来ます。

AGM(Annual General Meeting/年次総会)

  • We will have our AGM meeting on 1st June.(年次総会を6月1日に開催します。)

AGMのMはmeetingの略としてすでに略語の中に入っているにもかかわらず、AGM 「meeting」と、慣習的に繰り返して書かれたりもすることに注目してください。

このような例はPIN(Personal Identification Number)でも見られます。

PINに「Number」という言葉がすでに入っていても、しばしば「PIN number/ピンナンバー」と呼ばれます。

Attn(for the attention of/○○様宛て)

宛て名書きにこのような表示を見かけたら、「○○様宛て」の意味です。

Attnの後にコロン( : )を続け、その後に受取人の名前を書きます。

ビジネス文書で使われる宛て名の書き方です。

  • Attn: Carol Brown(キャロル・ブラウン様宛て)

AOB(any other business/その他の議題)

議事録の最後などによく見られる表記です。

会議の中で、急きょ挙がってきた議題に対応する場になります。

ASAP(As Soon As Possible/出来るだけ早く、早急に)

ビジネスに限らず、非常によく使われる略語です。

  • Please reply ASAP.(早急にお返事ください。)

c/o(care of/気付、~方)

住所表記で見られます。

手紙で「~様方」とするのと同じ意味です。

ETA(Estimated Time of Arrival/予定到着時間)

貨物や船の到着、または入港予定日などを示すのに書類上よく見られる表示です。

Time(時間)とあるからといって文字通り「時刻」を示すものとは限りません。

  • ETA Nairobi (日付)(ナイロビ到着予定日○月○日)

ETAと書かれている周辺にETDという表記も見られるかもしれませんね。

そちらはEstimated Time of Departureの頭文字を取ったもので、予定出発時間という意味です。

  • ETD Yokohama (日付)(横浜出港予定日○月○日)

FYI(For Your Information/お知らせまで)

絶対に見てもらわなければならない重要事項ではないものの、参考までにご覧くださいという場合にFYIと添えます。

  • Attached the last AGM report FYI.(ご参考までに、前回のAGM報告書を添付します。)

なお、議事録のことをminutesと言います。

  • [FYI] The minutes of the monthly meeting.(ご参考までに:月例会議事録)

N/A(Not Applicable/該当なし、またはNot Available/利用不可)

上記のように2通りの意味を持つ表示ですが、状況から判断すれば理解し間違えることはないでしょう。

よく一覧表などで見られる省略語です。

  • Name of the user: N/A(ユーザーの名前:該当なし)
  • Use of EMS: N/A(EMSの利用:なし)

EMSとは、日本語で「国際スピード郵便」と呼ばれ、英語 “Express Mail Service” の頭文字を取ったものです。

郵便局が提供する海外向け速達サービスで、世界120以上の国向けに書類から荷物までを比較的割安な値段で送ることが出来ます。

FAQ(Frequently Asked Questions/よくある質問)

日本語の書類でもよく見られるお馴染みの表示ですね。

けれどもFAQは、Q&A(Questions and Answers)と混同されることも多いようです

Q&Aは文字通り、「質問と答え」です。

その中でも特に多い質問をピックアップしたものが「FAQ」となりますので、両者の意味はちょっと違いますね

Qty.(Quantity/量、数量)

見積書や仕様書によく出て来る表記です。

なお、日本語でスペックと呼んでいるのは、specification(仕様書)の略ですね。

Per(Per/~当たり)

これも同じく見積書、仕様書でよく見られます。

単語の音に聞き慣れない感じがするとしたら、それはこの単語がラテン語だからでしょう。

しかし実はこの単語、私たちにはすでに「パーセント」でお馴染みのはずです

per は「~あたり」、centは「100」を意味し、

文字通り「100あたり」という意味です。

  • 4 passengers per unit.(一台当たり乗車人数4名)

perとアルファベットで書く代わりに、スラッシュ「 / 」で表すことが出来ます。

  • USD 100 /pc.(一つ当たり100米ドル)

上記例のように、個数を表すpieceもしばしばpc.と略されます。

NB(Nota Bene/注記、備考)

文章の最後などでよく見られる表示です。

ラテン語Nota Bene(注意せよ)の頭文字で、この表記以降に注意事項などが書かれているため、これを見たら目を通しておくようにしましょう

VAT(Value Added Tax/付加価値税)

日本語で文字通りに付加価値税と訳されています。

世界各地の請求書にこの表記が見られることでしょう。

  • VAT 18% inclusive(付加価値税18%込み)

Inclusiveが「込み」で、Exclusiveが「抜き」です。

Exemptedとあったら、「免税」です。

役職名に見られる省略英語

今や、CEOという言葉は誰もが聞き知っていますよね。

「最高経営責任者(Chief Executive Officer)」という英語のacronymです。

ところが、役職名には他にもまだまだこのようなアクロニムがいくつも存在します。

よく見られるものとして下記のような種類がありますが、どれもCは「Chief/最高」、Oは「Officer/責任者」を表し、真ん中の単語で所属部門が表わされている作りになっていることが分かります。

  • COO(Chief Operating Officer/最高執行責任者)
  • CFO(Chief Financial Officer/最高財務責任者)
  • CIO(Chief Information Officer/最高情報責任者)
  • CIO(Chief Judicial Officer/最高法務責任者)
  • CMO(Chief Marketing Officer/最高マーケティング責任者)
  • CTO(Chief Technical Officer/最高技術責任者)

まとめ

英語の省略語は多々あれど、今回は、ビジネス英語を使うにあたり是非覚えておきたいものに絞ってピックアップしました

これらが、自然に出てくるようになったら、ビジネス英語も板について来た証拠とも言えます。

もし、うっかり意味を忘れてしまったら、記事の文頭でご紹介した質問方法で確認してみてください。

投稿者プロフィール

西東 たまき
西東 たまき
2012年より東アフリカの英語圏の国・タンザニア在住。英語は貿易業務、国際機関勤務などにおいて、実務で身に付けた叩き上げ。
現在はフリーライターとして、日本語および英語による記事を執筆している。