交通機関の発達によって人やモノの行き来が活発になり便利にもなった反面、様々なウィルスや病原菌も距離を越えてあっという間に広範囲に広まってしまうのが現代社会です。
自分や家族の身を守って健康な暮らしを送るには、衛生に関する知識が欠かせません。
「保健」や「衛生」に関する英語は難しそうに感じるかもしれませんが、昨今は殺菌グッズは身近な存在です。
買うときは表示を確認して用途に合ったものを選ぶ必要があります。
そんなときその表示が英語で書かれていたらしっかりその意味を読み取ることができますか?
この記事では、そんなときのために暮らし回りで見られる「殺菌」や「消毒」に関する英単語をご紹介します。
衛生的な生活を送るのに必要な基礎知識としてご一読ください。
もくじ
「病原体」に関する英単語
体に害をもたらすものの筆頭は、細菌やウィルスです。
ちょっと体調を崩して病院や薬局にかかれば細菌やウィルスに関する言葉が出て来ますし、市販の薬を正しく買うにも関連する英単語を知っておかなければなりません。
細菌とばい菌
英語で「細菌」というとき、きちんと「バクテリア(bacteria)」という言葉が思い浮かぶ人は多いのではないでしょうか。
「bacteria」は複数形で、単数形は「bacterium」となります。
「データ(data)」の単数形が「datum」なのと同じパターンです。
通常は複数形で使われます。
私たちがカタカナで「バクテリア」と呼んでいる通りです。
培養して増殖した「バクテリアの群れ」は「colony」と呼びます。
「細菌」をもっと日常的な言い方で呼ぶと「ばい菌」となります。
「ばい菌」という言葉には、細菌の中でも「悪い働きをするもの」というニュアンスがあります。
英語でも「bacteria」の日常語として「germ」という言葉があります。
これも主に「悪玉」のものを示します。
微生物のことをまとめて英語で「microorganism」といいます。
ばい菌は食中毒の主な原因ともなります。
英語で「食中毒」は「food poisoning」といいます。
- Everyone needs to be equipped with the knowledge to prevent food poisoning.(食中毒を防ぐための知識は、誰でも知っていなければなりません。)
知識を「知っておく」というなら「know」や「understand」でよいところですが、ここでは「equipped with」を使うことで、知識を「身に付ける」というニュアンスを出しています。
ばい菌に対処するのが抗生物質、抗生剤です。
英語で「antibiotic」といいます。
「anti-」は「反」や「抗」、「bio」は「生」を意味しますから、正に「抗生」を表している単語です。
抗生剤は最も身近な医療薬の一つですから、是非覚えておきましょう。
同じ「anti-」が使われている「antidote」は「解毒剤」の意味です。
同じ「毒」でも、ヘビやサソリなど動物の毒は「venom」といいますので、それらの解毒剤は「antivenom」と呼びます。
ウィルス
「細菌」の他に、もう一つ身近な病原体が「ウィルス(virus)」です。
細菌やウィルスには伝染性のものがあります。
「うつる、伝染性がある」を意味する単語には、次のようなものがあります。
- infectious
- contagious
- communicable
「空気感染する」は「air-borne」、「水で感染する」は「water-borne」といいます。
「borne」は「bear」の過去分詞形です。
bearの過去分詞は「a baby was born(子供が生まれた)」というように「born」を使うことが多いですね。
「bear」は「産む、生まれる」の他にもたくさんの意味を持つ単語ですが、「産む、生まれる」以外の意味で使うときの過去形と過去分詞は「bore」と「borne」になるという変り種です。
- Yawning is infectious / contagious.(あくびはうつる。)
- Measles is a communicable disease.(はしかは感染症です。)
「measles(はしか)」は最後に「s」が付いていますが、単数扱いをします。
害虫・害獣
健康を維持するには、ばい菌、ウィルスの他にも処置しなければならないものがあります。
病気を媒介したりして、人の健康に害を及ぼす虫(害虫)や小動物(害獣)を「pest」といいます。
ダニ・ノミ(ticks and lice)やゴキブリ(cockroach)、ネズミ(rat)などが代表的なところです。
- pest control(害虫/害獣処理)
「殺虫剤」は英語で「insecticide」といいます。
「insect」は「虫、昆虫」のことですし、「-cide」は「殺」を意味します。
歴史の教科書に「ペスト」という病名が載っていたのを覚えている人も多いでしょう。
14世紀にヨーロッパを席巻し、人口の25%を奪ったとされるこの伝染病は、ネズミやノミなどによって媒介されたものでした。
こちらの「ペスト(pest)」はドイツ語で、英語では「plague」といいます。
別名「黒死病(Black Death)」としても知られています。
ペストの広がりを水際で防ごうと行われるようになったのが「検疫」です。
海外から日本に帰国するとき、外国滞在中の体調や病歴などを訊ねる質問票をもらったりしますよね。
「検疫」は英語で「quarantine」といいます。
検疫期間が40日間あったことから、「40」を意味するイタリア語から派生した単語です。
英語で使い分ける「殺菌」と「消毒」
殺菌・消毒といっても、英単語により様々なニュアンスがあります。
順番に確認してみましょう。
sterilise / sterilize
「殺菌、滅菌する」という意味です。
語尾が「-se」なのはイギリス式、「-ze」はアメリカ式のスペリングになります。
名詞形「殺菌、滅菌」は「sterilisation / sterilization」となります。
日本語の「殺菌」は文字通り「菌を殺す」という意味ですが、必ずしも100%の除去を意味してはいません。
菌を完全に死滅・除去する場合は「滅菌」と呼んで区別しています。
英語の「sterilise」には「根こそぎ、根絶やし」といったニュアンスがあり、「不妊・不毛にする」という意味もあります。
- Collected bottles are sterilised before re-use.(集めたビンは、再利用する前に殺菌処理されています。)
「sterilised」と表示があれば「殺菌/滅菌処理済」という意味です。
- sterilised medical instruments(滅菌処理済み医療器具)
disinfect
「消毒する」は「disinfect」です。
「ばい菌におかされる、汚染する」という意味の英単語「infect」に、否定を表す接頭辞「dis-」を付けて「消毒する」の意味になっています。
日常では、ちょっと硬い「disinfect」という単語を使う代わりに、簡単に「clean(きれいにする)」とだけいったりもします。
- You should disinfect / clean your cut / scratch once it stops bleeding.(出血が止まったら、傷口を消毒してください。)
切り傷なら「cut」、すり傷・かき傷なら「scratch」です。
「scratch」には「こする、掻く」という意味があります。
「スクラッチカード」を思い出してください。
かゆいときに「掻く」も「scratch」です。
「血が出る、出血する」は「bleed」です。
過去形は「bled」と不規則になります。
「internally(内部で)」を使うと「内出血」になります。
- Pinch the nose when you have a nosebleed(鼻血が出たら、鼻をつまみなさい。)
pasteurise / pasteurize
「低温殺菌処理する」という意味で、牛乳など乳性品によく「pasteurised milk(低温殺菌牛乳)」の表示があります。
フランスの化学者・細菌学者であるパスツール(Louis Pasteur)にちなんだ言葉です。
日本で売っている牛乳は「超高温殺菌」のものが主流ですが、低温殺菌処理の牛乳は風味がよく、自然な甘味が残っています。
sanitise / sanitize
「きれいにする、清潔・衛生を保つ」という意味です。
- sanitise / disinfect a cutting board with bleach.(漂白剤でまな板を消毒する。)
- Vinegar is good for sanitisation.(お酢は消毒に有効です。)
英語で知っておきたい「消毒剤、防腐・防カビ剤」
antiseptic(消毒・殺菌剤)
「消毒剤、防腐剤」のことであると同時に、「殺菌力がある」という形容詞にもなります。
- Wasabi and soy sauce both have an antiseptic effect.(ワサビと醤油は共に殺菌効果がある。)
- It is known that umeboshi plum pickles prevents food poisoning.(梅干しは、食中毒を防ぐことが知られている。)
disinfectant(消毒・殺菌剤)
前出の項でご紹介した「うつる、感染性の」という意味の「infectious」という単語も関連語です。
この単語は「infect(感染させる、汚染する)」から来ています。
名詞形は「infection」です。
fumigation(くん蒸、くん煙)
殺虫・殺菌・消毒処理のために、密閉した空間に気体の薬剤を散布することを「fumigation」といいます。
「fume」にはラテン語で「煙(smoke)」の意味です。
海外から海上コンテナで運ばれてくる野菜や果物の品質を落とさないよう消毒をすることを「ポストハーベスト」といいますが、これもまたfumigation処理のことです。
日本語では「くん蒸」と呼ばれます。
「部屋の隅々まで薬剤が充満させ、害虫を一気に除去する」という薬剤も市販されていますね。
海外では、入退去時はじめ定期的に家・建物全体のfumigationがよく行われますが、人体への影響も考えたいところです。
antifungal(防カビ)
カビは英語で「fungus」、複数形は「fungi」といいます。
「キノコ」という意味もあり、イタリア語でキノコは「funghi」といいます。
「カビ」が原因の病気に対処する薬は「antifungal」です。
- antifungal(抗真菌薬)
- antifungal spray(防カビスプレー)
まとめ
以上、健康な暮らしに欠かすことの出来ない「病原菌」や「殺菌」「消毒」に関する英単語をご紹介しました。
食品や薬、薬剤のラベルを理解するにも知っておきたい言葉ばかりです。
難しく聞こえる言葉もあったかもしれませんが、どれも日常的なものばかりでなので是非覚えておきましょう。
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